昨年末ぐらいからの株高がそうさせているのか、もっと根本的な流れなのか、長期投資の勉強会への参加者が目に見えて増えている。 着実に増加しているという表現を大きく超えた人気ぶりである。
その背景としては、みな異口同音に年金が当てにできそうにないこと、預貯金では財産づくりが間に合いそうにないことを挙げている。
そうなってくると、やはり投資というものを前向きに考えなければならないのだろうなで、みなが一致する。 問題はそこから。 投資を始めなければという気になっても、どんな投資をしていけばいいのかの壁に突き当たる。
これまで投資をしたこともないし、投資は怖いとか聞いている。 本来なら、そこはまともな投信の出番である。 投資初心者も含め、誰もが気楽に安心して投資の世界に踏み込んでもらえる器が投信なのだから。
ところが日本の投信は、まったく違ったイメージを日本社会に植え付けてきている。 証券会社はじめ銀行・郵便局など投信関係者にとっては、投信は手数料稼ぎの道具としての位置づけにすぎない。
それではいけないということで、これまでも日本の投信業界は折にふれて預かり資産増加の姿勢強化を打ち出してはきた。 しかし、いつまで経っても販売手数料稼ぎの旧弊から抜け出せないでいる。
惜しいことである。 これだけ大きな流れが来ているのに、それを実感することもなく相も変わらずの乗り換え営業に終始している。 高齢者中心に毎月分配型の投信のニーズが高いからといっているが、その高齢者がいつまでも投信購入者であり続けるわけがない。
次の高齢者層はお小遣い稼ぎで投信を買うなんて余裕はない。 年金も当てにならないのだから、虎の子の資産を少しでも大きく殖やしたいというニーズでもって投信を買ってくるのだ。 いまのままだったら、日本の投信業界は投資家顧客から捨てられよう。
新しい流れはかなりの急ピッチで、われわれの勉強会にも押し寄せている。 セミナーなどにやってくる人たちの多くが、これから投資をしてみようかなという人たちである。
長期投資って、こういうことなんだよ。 株価や相場を追いかけるのではなく、しっかりと企業を応援していくことなんだよ。 そう説明すると、砂に水が浸み込んでいくように納得感を高めてくれる。
ありがたいことに、さわかみファンドの15年半の実績を示すことで、長期投資でこんなにもお金が殖えてくれるよと具体的なイメージも持ってもらえる。 これは強い説得力である。
なにしろ、われわれのいう長期投資は淡々と企業を応援するだけのことだから、そこから得られるリターンもきわめて再現性が高い。 再現性の高いリターンを再投資していけば、どっしりと大きな財産づくりを進めていける。
そのあたりをゆっくりと説明すると、参加者の多くがじゃあ少しずつでも始めてみようかとなる。 いざ始めてみても、いろいろ不安だから勉強会また来るよと言ってくれる。 実に、楽しい流れが高まってきている。