米トランプ政権は脅しと取引(ディール)でもって、世界経済を好き放題に引きずり回している。
独裁者気取りのトランプ氏は、なにもかも自分の思うようにできると信じ込んでいるようだ。
思うようにならないと、すぐさま取引条件から政策方向まで、なんの躊躇もなく変えてしまう。
そういった朝令暮改に対し、たまったものでないのが企業経営はじめ経済活動全般である。
企業としても、腰を据えて経営戦略を立てようがない。 経済活動も右往左往させられるばかりである。
いまのところ、マーケットは一喜一憂しながらも、まだ買いチャンスを狙おうとするスタンスを崩していない。
どんな時でも値幅取りを狙おうとするディーラー達は、トランプ氏の気変わりによる迷走は歓迎である。
マーケットでの上下変動がひんぱんかつ激しくなればなるほど、値ざやを稼ぐ機会が増える。
機関投資家たちもトランプ氏の独裁者ぶった横暴政治の連発には、ちょっとついていけないといった反応をしている。
とはいえ、彼らはマーケット追随型の投資を専らとしているから、結局はトランプ氏の朝令暮改につき従っている。
一方、われわれ本格派の長期投資家は違う。 大きな崩れへの見通しを、ますます高めている。
現に、トランプ氏の気まぐれに振り回されて、どの企業も米国でのビジネス活動に腰が据わらない。
今は多くの企業が米国への投資拡大を発表してはいるが、どこまで米国での生産が効果を上げられるかは、全くの未知数。
なにしろ、世界一の輸入大国を自認してきた米国だ、それだけ国内での製造基盤は弱くなっている。
技術者を含め工場労働者が、どれだけ確保できるのか。 そういった生産現場が対応できない懸念は、各方面から指摘されている。
また、高関税などで自由貿易を阻害すればするほど、米国のみならず世界各国での物価高につながっていく。
それはそのまま人々の生活を圧迫し、消費の減退から成長率鈍化につながっていく。
そんなわけで、経済面でのマイナス要因は、これから米国はじめ世界各国で、どんどん表面化してこよう。
当然のことながら、企業の業績にも悪影響が及んでくる。 株価全般も現在の水準を維持するのは難しくなってこよう。
おそらく早晩、世界のマーケットは経済ファンダメンタルズの悪化を反映した展開となっていこう。
世界の多くの投資家たちにとっては、想像もしたくない現実に直面させられるのだろう。