糸の切れかかった凧みたい

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NY市場や日本株市場をみるに、まるで糸が切れかかった凧のように、激しい旋回を続けている。

普通、凧揚げでは糸を引っ張ったり緩めたりしながら、上空での凧舞いを上手くコントロールする。

風の流れを上手いこと凧の正面でとらえ、その風圧を揚力に変えることで、凧は高く高く舞い揚がっていく。

ところが、高く揚がった凧の上下左右の振れが大きくなると、どこかで糸はプツーンと切れる。

糸が切れるや、コントロールを失った上空の凧はヘナヘナと風に流されるままとなり、どこかで急落下して終わる。

この2か月ほど、株式市場での値動きはやたら荒っぽくなっている。

日経平均株価でいえば、500円ぐらいの下げや上げが、もう当たり前のように繰り返されている。

高く揚がった凧が揚力をコントロールしきれず、激しく上がったり下がったりすると、凧糸への負荷はきつくなるばかり。

NY市場のダウ工業30種平均株価はとみるに、新高値街道に躍り出てきてはいるが、やはり糸はビンビンに張っている。

どちらも、もういつ糸が切れてもおかしくない。 その先では、糸の切れた凧のように風に流されて落下していくのだろう。

糸が切れなかったら問題ない? そう願いたいだろうが、難しい想定だと思うよ。

たとえば、世界中の投資家が米FRBのパウエル議長による政策金利の引き下げを期待してきた。

そして、9月のFOMC(連邦公開市場会議)で、晴れて0.5%の利下げが実現した。

しかし、ここから先のさらなる金利引き下げは、マーケットの期待通りにいくかどうかは疑わしい。

たしかに物価上昇率は穏やかになってきているが、中東などでの地政学リスクは高まったままである。

また、米国でのハリケーン猛威はサプライチエーンの分断など、インフレ再燃に予断は許されない。

そうこうしている間にも、この2年間の利上げが企業収益の圧迫要因として、いよいよ表面化してくる。

われわれ本格派の長期投資家からすると、この高値は積極的な利益確定に有効活用させてもらう。

そして、現金をどんどん積み上げていって、いずれ来る大きな下げ相場での買い出動に備える。

別に、次から次へと新しい組み入れ銘柄に切り替えていくことだけが運用ではない。

ましてや、これだけ大きな上昇相場続いたのだ。 投資妙味が残っている買い銘柄は、どんどん少なくなっている。

高値で現金ポジションを高めておくことも、長期投資家にとっては大事な運用戦略のひとつである。