貧富の格差拡大、本当は?

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世界的に低所得層が増えている。 米国では、それにプラスして中産階級の没落が社会問題化している。

一般的には、金融マーケットの大発展に比べ、その流れに取り残された人たち圧倒的多数ということになっている。

そもそもは、1970年代に登場してきたマネタリズムという経済理論によるところが大きい。

金融を緩和して、資金を大量に供給すれば経済は成長すると唱えるのが、マネタリズムの考え方である。

そのマネタリズムを、この40年間どんどん深掘りしてきたのが、先進国を中心とした経済政策であった。

それで、たしかに世界の金融マーケットは大発展し、一部の人々の金融所得は著増している。

ところが、世界はさほど成長していない。 そこで、貧富の格差拡大とか低所得層の増加が問題視されるわけだ。

ここで、ちょっと視点を変えてみよう。 世界的にも一部の人々に富が集中しているといわれる。

では、その富とやらの実体は、どんなものだろうか? 超富裕層といわれる人達の、富とやらの中身だ。

大半が、株価をはじめとした金融商品や不動産の価格上昇によるものではなかろうか。

金融を緩和し、マネーを大量にバラ撒いてきた。 その結果、金融商品や不動産の価格はやたらと上昇した。

それにつれて、超富裕層たちとやらの資産勘定は異常なまでに膨れ上がった。

とはいえ、その大半は株価や地価などの急騰がもたらした資産価格の上昇にすぎない。

カネ余りバブルに乗っかった、資産勘定の膨れ上がりであって、バブルが弾ければ一気にしぼんでしまう類のものである。

また、そういったバブル脹れしてきた世界経済も、中身のない張りぼてのようなものといえよう。

一方、世界各地での貧困化や低所得層の拡大こそが、むしろ世界経済の実体であって、この問題は根が深いとなる。

根が深い? そう、食っていけない人々や、生活苦に苦しむ人々は、これからどんな行動に出るのだろうか?

世界各地で、いろんな意味での地政学リスクや社会の不安定化が高まるのは避けようがないだろう。

その横で、金融とかで浮ついた経済に踊るのではなく、自助自立の精神で地道に富を築いていく生き方が復活してこよう。

それが、経済本来の姿であって、われわれ本格派の長期投資家の目指す方向でもある。