昨年の12月に行った対談をベースとした新著が、この週末から書店に並ぶ。
副題が、「40年に一度の大チャンスがやってくる」である。
対談の相手は渡部清二さんで、複眼経済塾というところの塾長で、1500名の塾生を抱えている。
当初、対談という企画、そして未知の渡部さんということで、躊躇したが杞憂だった。
彼の、長期の株式投資を啓蒙していきたいという熱意は、ビックリするほど熱い。
それで、彼と4回にわたって、それこそかなり熱い対談を重ねて、本書の出版となったわけ。
そもそも株式投資は個別企業の将来可能性に、資金を投じるもの。
将来への夢を楽しみに追いかけるわけだから、当然のことながら長期の時間軸となる。
また、その目的はこれはと思う企業とともに、将来の経済や社会をつくっていくことだ。
最近はやりのSDGsなど、いまさら敢えて持ち出すなよというのが、本物の長期投資である。
SDGs、すなわち「持続可能な社会をつくっていくための、これこれの目標」だなんて、長期の株式投資そのものである。
そう、投資する主体が「より良い社会をつくっていこう」とする意識と意欲を、常にもっているべきである。
ところが、昨今の株式投資はマーケットを追いかけては、いかに値ざやを稼ぐかに堕落してしまっている。
とりわけ、運用のプロといわれる機関投資家の株式投資とやらは、お粗末きわまりない。
追いかけるは株価という数字であって、どんな将来を築いていこうなんて思いも意思も、まるでない。
それどころか、多くの株価をひとまとめに括った平均株価を投資対象として、値ざや稼ぎに明け暮れている。
さらには、大きな資金を動かすにはと、流動性の高いインデックスの先物をもって投資対象としているのだ。
ひたすら株価変動を追いかけるだけの無機質きわまりないディーリング運用で、さらにはインデックス運用でもって株式投資としているわけだ。
そういった現状の堕落ぶりに対し、これはなんとかしなければで、渡部さんと熱く一致した。
といっても、世界の機関投資家による年金などの運用は、巨大なシステムとなってしまっている。
ちょっとやそっとでは変えられそうにない。 そのうち大暴落で機関投資家運用そのものが地べたに叩き落されて、はじめて大きな反省となるのだろう。
われわれが訴えたいのは、個人投資家に対してだ。 それも、これから投資をはじめようとしている若い人たちに向けてだ。
将来への夢や思いにあふれた長期の株式投資でもって、どっしりと重みのある財産づくりをしていってもらいたい。
そんな夢を託して、新著は書店に並ぶ、この週末からだ。