われわれ長期投資家は、いつでも10年ぐらい先を視野に入れて考え、かつ早めに行動する。
その流れでいくと、ずっと主張してきている金融緩和バブル崩壊の先を、もう今の段階から検討して当然となる。
すると、真っ先に飛び出してくるのが、選別投資の重要性、すなわちアクティブ運用の復活だろう。
どういうことか? 空前のカネあまりバブルが弾けたら、ほとんどすべての投資対象がドスーンと下がる。
ゼロ金利と大量の資金供給で買い上がってきた金融マーケット全般が、連鎖して崩れ落ちる。
債券市場も株式市場も派手な暴落相場となるのだろうが、そこで凄まじい淘汰の嵐が吹き荒れよう。
ジャンク債など低格付けの債券から崩れ出し、債券市場全体が棒下げとなり、債券利回り全般が急上昇する。
それが長期金利の急騰に直結し、ゼロ金利に甘えてきた企業群の経営を直撃する。
おそらく相当な数の企業が経営破綻に追い込まれよう。 大量失業の発生など社会問題ともなろうが、どうにもならない。
そういった企業をも含めている平均株価、すなわちインデックス投資は悲惨な状況に追い込まれる。
インデックス投資は玉石混淆の銘柄組み入れとなっていて、石ころが消えてなくなるまでは長期低迷する。
そのような状態になってしまうと、一体どんな投資ができるのだろうか?
暴落した債券投資でいえば、利回り急上昇で投資魅力が出てきてはいる。
といっても、発行体の信用度が決定的に重要となる。 長期金利が高くなっており、それに耐えられる発行体かどうかだ。
時と場合によっては、一番安全とされている国債投資でさえも避けた方が良いことになるかもしれない。
なにしろ、国は1200兆円を超す借金を抱えているのに、国債発行に頼った財政運営をしてきたのだから。
長期金利の上昇で、新規国債の発行が厳しくなるし、既発国債の金利負担が急増する。
まさか、日本の国債がデフォルト(債務不履行)? そう思いたくはないが、さてどうなることか。
一方、株式投資はもう完全に選別投資だ。 経営基盤がしっかりしていて、先行きが楽しみな企業のみを買っていく。
一般的にアクティブ運用というと、株式投資においてだけと思われがち。
だが、上に書いたように、投資全般にも言えること。 つまり、投資対象をしっかり選別するのは、投資の原点である。
そうなのだ、債券でも株式でも選別など不要、何でも買っておけば良かったという投資環境は、もう過去のもの。
5年でも10年でも、思い切って資金を投下し続けられる投資のみに徹する。
それが、長期投資の基本であり、いよいよこれから真価を発揮するのだ。