ほんのわずかだが、住宅ローン金利が上昇していく懸念が出てきている。 これは要注意である。
ゼロ金利が続いたこともあって、住宅ローンを設定する人たちの60数%が変動金利を選択しているという。
金利全般が上昇してくると、一定の期間を経て変動金利も上昇に転じる。
それは、毎月の住宅ローン返済額が、金利上昇分だけ上乗せされることに直結する。
エネルギー価格や食料品の値上がりが目立ってきているところへ、ローン返済額が増加とくると家計はきつくなる。
このダブルパンチが、変動金利でもって住宅ローンを設定した人たちを襲うわけだ。
下手すると、住宅ローン破産に追い込まれる人々が続出することにもなりかねない。
2007年8月に大きな社会問題となった、米国のサブプライムローン問題をほうふつさせる事態も起こり得る。
米国の場合は、そもそも所得水準が低く住宅取得に縁のなかった人々まで巻き込んだ住宅バブルが破裂したもの。
今回の日本の変動金利による住宅バブルとは、内容がちょっと違う。
それでも、毎月のローン支払いが滞って、住宅ローン破産に追いやられる現象は同じである。
大きな社会問題となろう。 その点、固定金利で住宅ローンを設定してきた人達は、まだ楽である。
こちらは、毎月の支払額が固定されているから、インフレ対応だけで済ませられる。
ともあれ、インフレ高進と金利上昇の流れが本格化してくるにつけ、家計のやりくりは厳しくなる。
とりわけ、低所得層ほどきつい。 また、年金生活者も厳しい状況に追いやられることになる。
どう対処するか? 変動金利の住宅ローン負担は重くなるが、現役層全般はまだなんとかなる。
いつのインフレ時でもそうだが、物価の上昇に対し給料などは1年半~2年の遅れでキャッチアップに入る。
そこまで、なんとか食いつなげばという考え方はできよう。
ただ、いずれ書くが、インフレや金利上昇で景気が落ち込んでくると、給与の上昇も限られてくる。
一番の対処法は、本格的な長期投資をしておくことだ。 現役層も年金生活者もだ。
資産の置き場所を、生活者にとって大事な企業の株主になるという方向で定めることだ。
それが長期投資だが、インフレに乗った財産づくりを講じることになる。