カネ膨れ経済、浮かれてはいけない(後編)

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日本はバブル崩壊後31年にわたって、資金の大量供給とゼロ金利政策を続けてきたが、なんの成果も上がっていない。

それを見て、経済低迷のジャパニフィケーション(日本化)と、専門家の間で揶揄されたりもしている。

ところが、同じ轍を欧米も踏んで来ている。 リーマンショック以降12年にわたっての低成長がそれだ。

欧米も、大々的な金融緩和とゼロ金利政策でもって経済活動を活性化させようとしてきたが、一向に効果は上がらない。

もっとも、大量に資金をばら撒いてきたこともあって、金融マーケットは大活況だし、一部の業種でもバブル化の賑わいを見せている。

問題は、ここからだ。 大幅な金融緩和と大量の資金供給をもってすれば、経済は成長すると唱えるのがマネタリー政策である。

そのマネタリー政策だが、ここまでの実績と限界が一度たりとも検証されずにきている。 そして、さらに深掘りを続けているのだ。

たしかに、株価はじめ金融マーケットはバブル高を謳歌しているが、国民経済的にどれだけ貢献しているかは大いに疑問である。

一部の高所得層へ富は偏在化するばかりだし、その横で大多数の国民の低所得化が進んでいる。

社会的な不公平の広がりというよりも、ほんの一部の人たちが潤うだけとなっているのが、マネタリー政策である。

日米欧は、富の偏在化をもたらしているだけのマネタリー政策を、いつまで続けるつもりなのか?

金融バブルの崩壊は、もうそう遠くない先で起こる。 その時は、バブルの儲けは吹っ飛び高所得層とやらの富は大きく毀損する。

連中が真っ青になるだけなら、まだいい。 残念ながら、一般生活者にもバブル崩壊のしわ寄せは、津波のように押し寄せてくる。

なんとも割の合わない話である。 マネタリー政策の恩恵とやらとは無縁でいて、バブル崩壊の被害はしっかりと及んでくるのだ。

どんな被害か? バブル崩壊により、株価の暴落はもちろんのこと、債券市場の大崩れによって、長期金利は上昇する。

すると、多くの企業や金融機関の間で巨額の投資損や評価損、そして不良債権の山があっという間に積み上がる。

バブル負債の山が築かれ、そこへ金利上昇が襲ってくると、経営難や企業倒産など続出させるは、金融不安も台頭してくるはで経済活動も大混乱に陥る。

それだけでは、収まらない。 これだけじゃぶじゃぶにお金をバラ撒いてきたのだ、インフレの台頭も覚悟しておこう。

まあ、ひどいことになるのは避けられない。 そう、いまは浮かれている時ではないのだ。

ひどい荒海となろうが、われわれ長期投資家と一緒に乗り越えていこう。