まだ早いのかもしれないし、もう始まっているのかもしれないが、世界的な金融緩和の大崩れはそう遠くないだろう。
いまのところ、株価だけが変調の兆しを見せだしただけ。 最近でいえば、コロナウイルスの感染を恐れて、中国からの渡航禁止措置などで売られている程度。
したがって、どこかで世界の株価が再び上昇軌道を辿りはじめれば、なにごともなかったようにバブル相場は続いていくことになる。
そうはいうものの、大量の資金供給ならびにゼロ金利やマイナス金利で取り繕ってきた世界景気も、あちこちで綻びが出だしてきている。
どこかの綻びでバサッと穴が空くのか、さらなる金融緩和でパッチワークを重ねるのか?
各国政府や中央銀行が、そのいたちごっこに追われだすのは、もう時間の問題であろう。
どうしてかって? 史上空前の金融緩和で辛うじて取り繕ってきた世界景気だが、さっぱり自律的な発展拡大サイクルに入っていかない。
それどころか、資金のバラ撒きという「つっかい棒」で支えてきた脆弱さが露呈しだしている。 とりわけ先進国で目立ってきた。
そして、プラス面よりもマイナス面の方が大きいのではという見解が各国で出てきている。
これは、政策の大変更を求める圧力ともなるし、それを嗅ぎ取ったマーケットが先走りして崩れ出す、大きな要因となっていく。
その点、新興国では豊かさを願う国民のエネルギーが燃え盛っているので、自律的な経済拡大は続いている。
たとえ、先進国のマイナス金利や大幅な金融緩和がどこかで途切れて、金利が上がったりドル高といった津波が押し寄せても、一時的な苦境で収まってしまうのだろう。
それを乗り越えるだけのエネルギーが、新興国の多くには潜在している。
問題は、日本など先進国である。 新興国のような需要の爆発はもうない。 代わって、お金に働いてもらう、つまり資本収支が大事な経済拡大要因となっている。
その資本収支が金融バブルで膨らんだ人達がいる一方で、その恩恵に浴さない低所得層が不気味に拡大している。
そんな状況下で、世界的な金融緩和の限界が押し寄せると、バブル成り金たちは吹っ飛ぶし低所得層はさらなら打撃を蒙る。
金融マーケットではもちろんのこと、国民生活のあちこちで想像以上の大混乱もあり得る。
そうなってくるにつれ、我々のような長期投資の存在感が大きくクローズアップされよう。
国の政策とかに踊ることなく、人々の生活とそれを支える企業活動のみに焦点を当て、そこに軸足を置いた長期投資の真骨頂発揮である。