生活者株主という概念を広げようと、あちこちで提唱している。 生活者投資家といってもいいが、生活者株主の方がピッタリはまる。
われわれ一般生活者が企業の株主になることで、企業をいろいろな面で応援できる。 生活防衛にもなる。
その最たるものが、表題として記した「ここの工場がなくなったら困るでしょう」だろう。
最近は機関投資家をはじめとして、企業に短期の利益を求める株主が多くなっている。
その延長線で、あまり利益の出ていない工場とか赤字続きの事業部門は、売却なり閉鎖してしまえといった圧力が常時かかってくる。
株主の要求に屈すれば、その工場や事業部門は閉鎖や売却の運びとなる。
それで困るのは、工場や事業部門の従業員やその家族、そして出入り業者や地元の商店などである。
いかに儲かっていないといえども、雇用を守り地域経済をも支えており、消費を生み出しているのだ。
それを、パッと切ってしまうのは、あまりに短視野で短期の利益追求に過ぎる。
資本の論理といえばそれまでだが、経済全体からみるとマイナス面が多すぎる。
どうしたらいい? 一般生活者が生活防衛のためと、意識的に企業の応援株主になることだ。
とりわけ、自分の生活基盤ともなっている企業に対し、長期視野の経営を求める株主になってやろう。
やることは簡単。 株価が大きく下がっているような時とか暴落相場では、どんどんその企業の株を買っていく。
株価が大きく戻ってきたら、売って利益確定して構わない。 下げたら、また応援買いに出るのだ。
この繰り返しを続けているうちに、生活者株主の比率は静かに高まっていく。
気がついたら、機関投資家や海外のえげつない連中を押えて、大株主となっている。
それはそのまま、企業の長期的かつ持続力ある経営を強力にサポートすることになっていく。
生活者株主という新しい主役が登場してくることで、最近のあまりに短視野化した企業経営にブレーキをかけ、マーケットのマネーゲームも縮小させることができる。
資本主義の終焉とか行き詰まりの打開にもつながっていく。