農中の投資損が1.5兆円

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農林中金の海外債券投資で大きな評価損が出ていて、1.5兆円の赤字を計上するとのこと。

米国や欧州の国債を中心の外債投資が、金利上昇の波を食らったもの。

日経新聞の報道では、日本の預金預かり金融機関の外債投資は117兆円ある。

その、20%ほどが農中によるもの。 ということは、他の金融機関も同様の債券投資損を抱えているはず。

さて、農中以外の金融機関は保有している外債の評価損を、どう処理していくのだろう?

ともあれ、米欧の金利上昇の影響が、保有債券の評価損や損失処理として表面化してきているわけだ。

それだけではない。 農中はこの損失処理に絡んで、欧米債を10兆円ほど売却し、国内投資に切り替えるとのこと。

債券を売るということは、債券の流通利回りを上昇させ、さらなる債券売りを誘う悪循環を招きかねない。

どちらにしても、2年前からはじまった米欧の金利上昇が債券投資家に、ずっしりとのしかかってきているわけだ。

昨年の3月には、米国の地銀など3行が経営破綻した。 いずれも、金利上昇が影響してのもの。

ひるがえって日本でも、植田日銀総裁が7月には金利引き上げの可能性をほのめかしている。

いつの金利上昇でも債券投資にとっては逆風となる。 さてさて、これからどんな展開となるのだろう?

そのあたり、世界の投資家や市場関係者は、そろそろ金利は下げに転じるだろうと希望を込めた観測を述べている。

ただ、世界のインフレ圧力は根が深い。 そうそう簡単に金利は低下してくれないのではなかろうか。

一方、世界の株式市場においても、金利上昇の影響は無視できなくなっていくはず。

米国で5%台、欧州で4%台となっている金利は、企業の経営にじわじわと効いてきている。

インフレによる諸コスト上昇に合わせ、金利コストの上昇が収益動向に反映してくるのは、もう時間の問題だろう。

それに対し、世界のマーケットはまだまだカネ余り相場の楽観に酔っている。

さて、この先の世界経済や金融マーケットは、どう転がっていくのだろう?

いつも経済合理性を判断の基準としている、われわれ本格派の長期投資家からすると、大きく崩れると読む。

一方、ゼロ金利に慣れ親しんできた世界の投資家たちは、しぶとく粘るのだろうね。