資産運用ビジネスで、問われるものは?

Browse By

投信はじめ、投資顧問業や証券界者のラップ口座など、資産運用ビジネスが花盛りとなっている。

資産運用分野で後進国の日本にっては、大いに結構なことである。

1000兆円を超す預貯金マネーの10%でも20%でも、まともな資産運用にまわってくれると、ありがたい。

まともな資産運用? そう、現状は資産運用の旗を掲げた人たちによる商売、そういった域に留まっている。

投信各社は新NISAに乗って、世界株式インデックスとか米国株インデックス関連の投信販売に熱を上げている。

投資顧問会社は日本株が34年ぶりの高値更新を題材にして、株式投資顧客の開拓に力を入れている。

証券会社のラップ口座では、AIとかロボットアドバイザー運用とかで、どんどん契約顧客を開拓している。

どれもこれも、国を挙げての「貯蓄から投資へ」とか「資産運用立国」とかの流れに乗って、意気軒昂である。

意気軒昂なのはいいが、各社はどこまで運用ビジネスとしての覚悟や責任意識をもっているのだろう?

運用ビジネスは投資家顧客から預かった資金を、どう責任をもって期待に応えていくかが問われる。

当然、顧客資金を受け入れる入り口から、どんな資金で、どんな目的でもって資金を預けてくれているかを把握する必要がある。

ところが、現状は資産運用ビジネス各社どこも、運用成績の追いかけをもって資金を集めようとしている。

ただただ預かり資金が多くなればなるほど、運用ビジネスとしての社会的な役割を果たしているような風潮である。

そんな各社だが、金融マーケットに大きな逆風が吹いてきたら、一体どうするのだろう?

株式市場などマーケットが暴落しました、預かり資産の目減りは不可抗力でしたで、済まされるものだろうか?

もっとも、投資は自己責任ですよといった便利な開き直りを連発する手もある。

はっきりしているのは、それでもって、せっかくの投資文化の芽生えを台無しにしてしまうだろうということだ。

資産運用ビジネス各社に問いたい。 皆さんは、どう投資家顧客の資産を守り育てていこうとしているかを。

いつでも起こりうるマーケットの大きな変動に対し、どうやってそれを乗り越えていくのか。

まさに、受託者責任(フィデュシャリー・デューティ―)が問われるわけだ。

ただマーケットを相手に運用すればいいのではない、どうやって運用責任を果たしていくかだ。

その準備と覚悟ができている運用ビジネス各社だけが、生き残っていくのだろう。