運用の時代とか資産運用立国とかで、運用ビジネスがやたら脚光を浴びている。
結構なことと言いたいところだが、果たしてこのままで良いのかなという疑念が強く残る。
疑念? そう、この長期投資家日記でずっと主張していることと同じ論点だ。
つまり、1980年代に入ってからの40年を超す右肩上がりの金融トレンドが、もういつ崩れ出してもおかしくない。
その時、世界の株式市場はじめ金融マーケットはもちろんのこと、運用ビジネスもガタ崩れとなってしまう。
そもそも先進国中心に運用の大衆化が進んだといっても、1980年代に入ってからのこと。
その前までは、資産運用というのはお金持ちの間での話であって、余っているお金をどう運用するかだった。
それが年金制度の整備にともなって、年金マネーの運用が本格化し、運用の大衆化が急進展しだしたわけだ。
事実、運用ビジネスの大衆化を象徴すると考えられる、投信の保有比率をみてみると明白である。
米国の個人金融資産のうち、投信保有比率は1980年の段階で1%あるかないかだった。
それが10年もしないうちに、10数%にまで高まって、今日に至っている。
ドイツ、フランス、イタリアにおいては、投信という言葉さえも一般化していなかった。
ほとんどゼロ状態にあった投信の保有比率が、やはり10年ぐらいで10%を大きく超えてきた。
それから40年余り、世界の金融マーケットも、年金はじめ投信などの運用資産額も巨額に膨れ上がった。
資産形成の王様とみなされる株式投資においても、インデックス運用が大成長を遂げた。
そういった資産運用ビジネスだが、世界の金融マーケットの右肩上がりトレンドが大崩れに入ったら、どうなるか?
40年越しの上昇トレンドに乗ってきただけでもって資産運用としてきた人達は、みな大混乱に叩き落されよう。
いざそうなっても、われわれ本格派の長期投資家は慌てず騒がずだ。 ずっと前から暴落を見越してきたからね。
ちょっと待ってくれ! 今後も右肩上がりトレンドが続けば、なんの問題もないのでは?
いや、歴史的なメガトレンドの変化は無視できまい。 異常なるカネ膨れ経済が限界を超えてきた。
現に、金融マーケットの大発展の裏で、世界の貧困はじめ低所得化が進み、それが地政学リスクを高めている。
そのひとつが世界的なインフレ圧力で、そう簡単に収まらない。 それに対し、金利上昇は経済合理性の刃である。
真の資産運用では、そういった下落リスクをなんとしても避けることだ。 さあ皆さんは、どう対応するのだろう?