この半世紀、日本も世界もマネタリズムといわれる、お金ジャブジャブの経済運営でもって、ひた走ってきた。
そこで大きく花開いたのが、金融資本主義ともいわれる、マネーがすべてとする価値観である。
企業経営でいえば、利益の最大化が資本の出し手である株主に最大の貢献となる。
株主といっても、大半が年金など機関投資家や金融機関であって、サラリーマンが担当している。
サラリーマンからすると、自分の任期中にできるだけ多くの成果を上げて、給料やボーナスを高めたい。
となると、どうしても毎年の運用成績につながるよう、短期の利益拡大を企業に求める。
企業が短期の利益最大化に走ると、将来に向けての投資や人件費を削ることになる。
それは、経済活動や消費を縮小させ、経済の拡大発展にブレーキをかけてしまう。
その結果、経済全体は期待したほどに成長しないは、多くの人々の低所得化を招くはとなっていく。
その一方で、金融マーケットは大発展し、金融所得中心に一部の人々への富の集中は進む。
この金融がすべてのトレンドを、先進国中心に延々と深掘りしてきたわけだ。
ここまで来てしまうと、たとえば政策運営や年金運用の現場では、株価など金融商品の大幅下落は絶対に困る。
それで、さらにマネーを供給したり金利を下げたりする。 いってみれば、麻薬中毒患者みたいなもの。
かくして、ますますマネーがジャブジャブの経済や金融マーケットとなっていく。
いってみれば、中身のない張りぼての経済や金融マーケットといった色合いが、どんどん強くなってきているのだ。
そういった歴史的なトレンドに対し、世界的なインフレ圧力と金利上昇という実体経済からの刃が突き刺さってきた。
バブル化した金融マーケットが弾けて暴落するのはもう時間の問題だが、それは同時に価値観の見直しを招く。
すなわち、マネーがすべてとする金融資本主義が大崩れし、もっと実質的な価値を追求していく経済に戻っていく。
その過程で、世界の金融マーケット中心に大混乱は避けられないが、これは避けて通れない道と覚悟しよう。
その先では、金利は正常化するし、需要と供給の均衡点でもって諸々の価格が決まっていく経済の復活だ。
現在のような、国や中央銀行が大量の資金供給でもって経済運営を仕切ることでの歪みは一掃される。
ようやく、われわれ本格派の長期投資家が思う存分に力を発揮できる経済に戻ってくれるのだ。