資産デフレへの心準備を

Browse By

ずっと、世界の金融マーケットの暴落は避けられない、それに備えろと主張してきた。

ゼロ金利やマネーの大量供給をベースに膨れ上がってきた、カネ余りバブル高はいつか必ずはじけ飛ぶ。

現に、世界的なインフレ圧力によって米欧の金利水準は、4%ほど上がってきている。

日本だけが例外的に、いまだゼロ金利を維持している。 とはいえ、マイナス金利の解除は時間の問題である。

したがって、もういつカネ余りバブル高が崩れて、世界の金融マーケットが暴落に入ってもおかしくない。

とはいえ、世界の機関投資家をはじめとして、皆が40年越しの上昇相場に乗っかってきた。

それどころか、70年代から80年代前半にかけてのインフレ時代を、ほとんどが運用経験していない。

それもあって、インフレや金利高に対し警戒感を高めるどころか、ずいぶんと気楽に構えている。

これだけ根強いインフレを前にしても、金利引き下げを期待して、買いポジションを下げようとしないのだ。

そんな機関投資家たちの楽観姿勢もあって、マーケットはしぶとく高値圏で粘っている。

とはいえ、米国や中国での不動産ビジネスが厳しくなってきたりと、金利上昇の影響は明確に出てきている。

だから、もういつ世界の金融マーケットが暴落に入ってもいい、それに備えろと主張してきたわけだ。

暴落つまり株価はじめ金融商品全般の価格が大きく下がると、投資家は大損する。

個人投資家ならば、「しまった、早く売っておけば良かった」と、悩んだり悔やんだりするまでのこと。

一方、機関投資家はじめ企業や金融機関など法人の場合は、大損してしまっただけでは済まされない。

マーケットの暴落によって、法人投資家の間では巨額の資産デフレが発生する。

資産デフレというのは、暴落寸前まで大きく膨れ上がっていた資産勘定が、一気に蒸発縮小する。

その一方で、大きく目減りした投資勘定の資金調達先でもある負債勘定は、まるまる残っている状態をいう。

となると、どの法人投資家も巨額の投資損や評価損を計上すると同時に、調達資金の返済義務を果たさなければならない。

この図式は、アセットオーナーと呼ばれる、年金など運用資金を提供してきた投資家サイドも同じこと。

つまり、マーケットに参加してきた法人投資家は、みながみな資産デフレの苦しみにのたうち回ることになる。

たとえば、960兆円の時価総額の日本株市場が、30%下げると288兆円の資産勘定が蒸発する。

それをみて、年金など資金の出し手は運用サイドに対し、288兆円もの資産目減りは困る、なんとかしてくれと迫る。

なんとかしてくれといわれても、マーケットが暴落してしまった以上、どうにもならない。

運用サイドも資金の出し手も、蒸発してしまった288兆円に対し、どう処理するかで苦しむ状況に追い込まれる。

この資産勘定の蒸発が世界レベルで起きるということは、世界全体でマネーつまり信用が一気に収縮することを意味する。

いまのカネ余りからは想像のつかない、カネつまり状態に追い込まれる。 当然、金利は急上昇する。

これは、マーケットでの行き過ぎに対する振り子現象だが、みなが厳しい現実に追い込まれよう。