昨年からうわさされていた、日本はドイツに抜かれて世界4位の経済規模に落ちたのが、どうやら確定したようだ。
人口が減っていっているからという人たちがいるが、ドイツは日本よりも4000万人ほど少ない国だよ。
円安のため、ドル換算した日本のGDP数字が低く算定されているという人もいる。
しかし、円安に逃げて輸出増加ひいては経済活性化を願ってきたのは、産業界はじめ日本の指導層だ。
その結果が、経済はさほど成長しないは、世界第4位に堕ちるはの、まったく良いところなしではないか。
そもそも、90年に入ってバブル崩壊からの日本が採った政策の方向が失敗であった。
そのあたり、官民ともども一度たりとも検証されていないのが、不思議でならない。
バブル崩壊で、地価や株価が大きく下落した資産デフレに、企業も銀行も巨額の投資損失と不良債権を抱え込んだ。
それに対し、日本はバブルに踊り狂った企業や銀行の救済に走った。
企業や銀行が連鎖倒産すれば、経済は大混乱に陥る。 大量失業も発生するといって。
そこで打ち出されたのが、92年9月の総合経済対策予算に始まる、総額600兆円を超す国費投入だ。
もうひとつは、超低金利政策によって、家計から利子所得を奪って銀行の純利益増加を下支えしようだ。
95年からの超低金利、99年からのゼロ金利によって、日本の家計はやはり600兆円前後の利子所得を失った。
これは、日銀統計による家計の預貯金残高に対し、通常の3%とか4%の利子がついていたならばという単純計算ではあるが。
その成果は? 合計1200兆円ほどの資金投入で、さすがにデフレ経済(?)は収まってきたかもしれない。
一方、90年代の初めまでは世界がうらやむ健全財政だった日本が、先進国最悪の財政赤字を抱えるまでに堕した。
それまでは建設国債中心だったのに、赤字国債の増発に次ぐ増発で、国の借金は1286兆円にまで膨れ上がった。(2023年末)
家計でみれば、預貯金での得べかりし利子所得の半分でも消費にまわっていれば、それだけでも2%成長できたはず。
どれもこれも、デフレに対処するためということだったが、あまりに代償が大きい。
企業や銀行の救済ということは、後ろ向きの資金投入でしかなく、結果としてゾンビ企業を大量に発生させた。
これだけ家計から利子所得を奪い続ければ、個人消費はずっと低迷し、経済成長にブレーキとなるに決まっている。
日本の輸出依存度は10%もなく、韓国やドイツはもちろん米国よりも低い。
そんな日本で、国内需要が伸び悩めば、企業の新規投資意欲も高まるはずがない。 生産性は低くて当然である。
このあたりの失政を、しっかり検証して、まともな経済政策を打ち出してもらいたいものだ。