日経平均株価が34年ぶりに最高値を更新し、今日も続伸している。
アベノミクスがはじまる前の2011年とか2012年の当時、日本株に関し皆が総悲観だった。
それに対し、自分はこの長期投資家日記でも、「なに言ってるんだ、断固として買っておこう」と繰り返していた。
「日経平均株価も、将来的には5万円10万円だってありうるのだから」と、買い一点張りだった。
その後、アベノミクスや日銀による株式ETF購入などで、日本の株価は大きく上昇した。
そして最近では、東証が「PBR(株価純資産倍率)が1倍以下の企業は、どんなものか」提言を発した。
それで、多くの企業が大慌てで自社株買いなどを発表し、株価は急上昇した。
そんなこんなで、ようやく34年ぶりの最高値更新ときた。 自分にとっては、なんとも微妙である。
10数年前から強気で株買いを提唱してきた身としては、「どうだ、上がっただろう」と胸を張りたいところ。
ところが、ずっと前から「この金融緩和バブル、一刻も早く売って離れよう」と提唱してきている。
株価にしても、カネ余りバブル高が崩れるのは、もう時間の問題と警鐘を鳴らしてきた。
われわれ本格派の長期投資家からすると、こんなカネ余り株高には利益確定の売りあるのみである。
そして、株価など金融マーケットが暴落した後の大バーゲンハンティングの準備を怠らずだ。
そんなわけで、ここへきての最高値更新などを素直に祝う気など、さらさらない。
ちなみに、この30年間、アベノミクスからでも10年ちょっと、日本経済や企業が一体どれだけ体質強化してきたか?
ゼロ金利政策やこれでもかこれでもかの資金バラ撒き、日銀による株買いなどで株価が上がってきただけである。
その間、多くの企業では経営が弛緩し、将来成長に向けてのアニマルスピリッツはずいぶんと影が薄くなってきている。
一方、どの企業もROEを高めたりの財務操作や、3年以内の黒字化を目指すなど経営の短視野化が目立っている。
それに対し、世界的なインフレの根は深く、金利上昇もカネ膨れした張りぼての経済に突き刺さってきている。
ここは一度、大きく崩れてしまった方がいい。 その上で、金利ある経済に回帰し、本当に強い企業だけが浮上してくる。
その上での、最高値更新を皆で祝いたいものだ。 その時は、投資家の顔ぶれが大きく変わってしまっているのだろう。
もちろん、われわれ本格派の長期投資家によるアクティブ運用が主流となっていよう。