マーケット追随と資産形成は別

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世界の機関投資家の間では、彼らの大半がマーケット追随をもって運用としている。

株式市場などのマーケット動向に対し、どれだけ超過リターンを積み上げたかで毎年の成績を競うのが仕事である。

それを資金運用(Money Management)という。 その時々のマーケット動向を追い回すをもって運用としているわけだ。

そんなものと、資産形成は別ものである。 いくらマーケット動向に勝っているとかいっても、それがどうしただ。

たまたま、この40年間は世界の金融マーケットは拡大に次ぐ拡大を続けてきた。

1971年のニクソンショック、73年の石油ショック、2000年のコンピュータ誤作動問題、01年の同時多発テロ、08年のリーマンショック、20年のコロナ感染問題などで、先進国中心に過剰流動性をどんどん深掘りしてきた。

そこへ、80年代からの年金マネーの急速な膨れ上がりによる、一方的な株買い債券買いが続いた。

そして、ゼロ金利やマイナス金利政策の導入とで、世界の金融マーケットは膨れ上がる一途できた。

株価や債券価格はずっと右上がりトレンドを続けてきて、それに乗っかった資金運用である。

40年にわたる右肩上がり相場に乗っかって、マーケット追随の資金運用はご機嫌だっただけのこと。

しかし、いかなる人為の集積による金融マーケット肥大化も、経済合理性には勝てない。

資金を大量にバラ撒き続ければ、いずれ必ずインフレになるし、金利も上昇する。

それらは、カネ膨れしてきた金融マーケット全般にとっては、恐ろしい刃となって刺さってくる。

その先では、株式市場をはじめとして金融マーケット全般で、売りが売りを呼ぶ暴落相場となっていく。

これだけ、史上空前のカネ膨れで積み上がった買い残高だ。 とんでもない売りに晒されるの避けられない。

その時は、金融マーケット全般が売り逃げの地獄と化し、資金運用は悲惨な状況に叩き落されよう。

もうそうなってくると、資産形成どころではなく、いかに投資損失を最小限に抑えるかで必死となろう。

もっとも、機関投資家たちは不可抗力的なマーケットの急落に遭遇して、成績悪化を余儀なくされました。

そういった報告でもって、彼らの責任はそこまでとなる。 年金などを運用する彼らも、そんなところである。

資産形成はあくまでも、投資運用(Investment Management)の世界。

大きなマーケット暴落を食らったら、元も子もない。 それどころか、暴落相場をバーゲンハンティングできない。

それが、長期投資家による資産形成であり、資金運用とはまったくの別物である。