最近の日経新聞などの報道では、資産運用に関する記事が多くなってきている。
この長期投資家日記ではずっと前から主張してきたことが、いよいよ社会の関心となってきたようだ。
たとえば、6月のセゾン投信での中野解任時には、金融と資産運用ビジネスの違いが、判っていないと強く指摘した。
金融ビジネスでは、その時々の稼ぎを如何に大きくしていくかの勝負。
大きく稼いでしまえば、あとは野となれ山となれでも、一向に構わない。
なぜなら、儲けるチャンスはいくらでも創り出せるし、その能力が問われるのが金融ビジネスである。
一方、資産運用ビジネスは時間軸が10年20年40年と、やたら長い。
いかに再現性の高い運用で安定度高く、投資家顧客の資産を殖やしていくかが求められる。
マーケットでの日々の価格変動に振り回されることなく、じっくりと投資収益を積み上げていくわけだ。
その場その場の稼ぎに集中する金融ビジネスとは、時間軸がまったく違う。
その点、資産運用ビジネスというものを、日本ではまったく理解されていない。
だから、証券や銀行の子会社が投信など資産運用ビジネスを手掛けるといった、とんでもない混同がまかり通っているのだ。
現に、米国などでは常識となっている独立系の運用会社が、日本ではまったく育っていない。
そもそも、まともな資産運用そのものが、日本には存在しなかった。 だから仕方ないとは言っていられない。
そこで、最近は投信などの事務業務を引き受ける専門会社の必要性が、しきりに報道されている。
これなんぞも、投信のプラットフォーム会社を創ろうと、われわれはずっと前から訴えてきた。
顧客口座関連の事務業務全般を一手に引き受けてくれたら、資産運用ビジネスを手掛けやすくなる。
投信ビジネスでいうと、経営コストの大半は事務関連業務で発生する。
そのあたりを、プラットフォーム会社が引き受けてくれたら、我こそはと思う運用者にはチャンス到来である。
投信会社などに努めている多くの運用者が独立して、自分の投信ファンドをはじめられる。
いよいよ日本でも独立系の資産運用会社が、一気に増加するわけだ。
幸い、資産運用ビジネスは積み上がってくる運用実績の勝負。
それも、投信では基準価額でもって公開情報となっていく。 だから、運用能力の差は歴然である。
独立系の運用会社がどんどん出てくると、いい意味での熾烈な競争が白日の下で展開される。
その先で、日本にも本格的な運用会社が育ち、一般生活者の資産形成をお手伝いしていくことになる。