国を挙げての、資産運用だ、新NISAだの大キャンペーンに、ちょっと待ってくれといいたい。
もちろん、国民が投資運用によって資産形成を図るのは絶対に必要で、こちらも30年前から訴えている。
その具体的な実践として、日本ではじめての本格的な長期保有型投信「さわかみファンド」を設定したわけだ。
国民の誰もが、1万円から財産づくりの長期投資に入っていける投信を設定して、既に24年の実績を積み上げてきている。
遅ればせながら、国も資産運用の大事さを訴えるようになったのは、結構なことである。
しかしだ、タイミングが悪すぎる。 こんな金融緩和バブルの最終局面で、「投資をはじめましょう」はない。
ましてや、来年からの新NISAで国民の多くを投資の世界へ誘導するのは、考えものである。
現行のNISAも新NISAも、税優遇ばかりを前面に出しているが、それは投資で利益が出ての話。
もし、期待に反して投資損失が出た場合は、税優遇も何もない。
一般的な投資であれば、損失を出しても他の利益と相殺できる、損益通算すればいい。
ところが、NISAも新NISAも損益通算ができない。 投資で損失が出ても、そのままである。
したがって、来年からの新NISAも制度としては素晴らしいが、スタートは慎重にしたい。
儲かってはじめて、税優遇が受けられる制度だから、よほどていねいに安値を買うよう心掛けたい。
その意味では、こんな高値圏それも空前のカネ余りバブルの最終段階で、投資をはじめるのは危険すぎる。
まして、新NISAで投資対象となるであろう株式や投信は、どれも高値を張っている。
投資をはじめるタイミングも、多くの人々が買うであろう投資対象も、すっ高値圏にある。
もちろん相場のことだから、どう転がるかは神のみぞ知るの世界。 まだ、上値の余地があるかもしれない。
それでも、こんなところで国の資産運用や新NISAキャンペーンに浮かれるのは、損失を蒙るリスクが大きすぎる。
われわれ本格派の長期投資家からすると、カネ余りバブルの崩壊を待って、投資をはじめるので十分である。
暴落相場の安値圏で、将来が楽しみな投資対象を厳選して、おもむろに拾っていけば、素晴らしい投資となる。
ともあれ、金融ビジネスの大キャンペーンに乗って新NISAで浮かれるのは、くわばらくわばらである。