官製相場の思考停止から脱皮しよう

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日銀は昨日の政策決定会合で、長期金利を1%前後までは容認するとした。

ただ、デフレ脱却を確固としたものにするため、まだまだ金融緩和政策は続けるとのこと。

もうそろそろ経済政策において、国など政策当局が市場価格をコントロ-ルする度合いを減らした方がいい。

そういった官製相場に頼ってばかりでいるのは、思考停止を助長するだけである。

たとえば、日本経済がデフレに陥ったということで、超低金利からゼロ金利へと金融緩和を深掘りしてきた。

その政策が妥当であったかどうかは、この30年間で一度たりとも検討されていない。

その間に、家計から奪った利子所得は単純計算ながら、735兆円に上る。 以下は、その計算根拠。

個人金融資産の預貯金勘定でみると、日銀が公定歩合を1%から0.5%に引き下げた95年9月の段階で526兆円だった。(日銀統計)

その預貯金勘定は、今年の6月末では1011兆円となっている。 平均すると、768兆円だ。

この768兆円に、通常の3%とか4%の金利がつけば、年23兆円とか30兆円の利子収入となる。

この27年9か月の利子収入総計は、638兆円とか832兆円となる。 平均すると、上記の735兆円だ。

とんでもなく巨額の得べかりし利子収入であり、それが税収減や消費減につながっているわけだ。

つまり、その間の平均GDPに対し、なんと4.3%とか5.6%にも上る勘定が、デフレ対策に費やされたことになる。

たしかに企業活動を活性化させることでデフレ脱却を進めるという政策は一理ある。

しかし、ゼロ金利で消え去ったGDPに対し年4.3%とか5.6%という勘定は、なんとももったいない。

そう、日本のように個人の預貯金勘定が異常に大きい国では、ゼロ金利などマイナス効果しかないと言えよう。

ゼロ金利を押し通すのではなく、金利を正常化させる経済効果を、なぜ一度も検討されないのか。

もっとも、ここまで国の国債発行残高や日銀の財務を膨らませてしまったから、金利上昇は何としても阻止したいのだろう。

しかし、そういった国や日銀の台所勘定など、経済合理性の刃が突き刺さってきたら、もうどうしようもない。

経済合理性を圧し潰してきた官製相場の行き着く先では、とんでもない大混乱が待っている。

ひどいとことになろう。 われわれは、自助自立の心構えを高めておこう。