新NISA狂騒曲?

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協奏曲とか狂想曲は、コンチェルトとかカプリッチョと呼ばれる音楽用語である。

それに対し、狂騒曲なんてのはないが、来年からはじまる新NISAに絡んで、金融界は沸き上がっている。

それも、一人一口座という決まりもあって、どこも投資家顧客の囲い込みで、まさに狂騒曲を演じているようだ。

マスコミが新NISAを大々的な取り上げていることで、さらに狂騒曲を煽っている感がある。

とはいえ、展開は大手金融機関が有利なようだ。 なにしろ、品ぞろえで他を圧倒している。

まあ、それはそれとして、われわれ本格派の長期投資家は、ここで冷静になろう。

新NISAで金融界中心に沸き上がってはいるが、さてさて先行き一体どうなるのだろうかだ。

たしかに、新NISAは税控除の額が大幅に増額され、5年という縛りもなくなった。

国民の「貯蓄から投資へ」を誘導するには、この上なく立派なお膳立てができた。

政府や金融庁は至極ご満足だろうが、ふたを開けてみればで、その先どうなっていくことだろうか?

ふたつ、大きな懸念点がある。 ひとつめは、世界的な金融緩和に乗って好調な投資環境が続いてきた。

その最終局面での「貯蓄から投資へ」の肝入れとして、新NISA狂想曲が大々的に奏でられている感がある。

それに対し、40年ぶりの世界的なインフレ台頭と、それを抑え込もうとする金利上昇が、冷や水となりつつある。

ゼロ金利の時代から、金利のある世界への大変化だ。 いつ世界の投資環境が総崩れに入っても、おかしくない。

どこかで、世界のマーケットが大きく下げてきた時、投資はじめたばかりの人たちのショックは如何ばかりか。

投資家だけではない。 世界の金融業界全般も、右往左往の大混乱に陥っていよう。

ふたつめの懸念点は、これまで人気化してきた投資商品のほとんどが、暴落しかねないことだ。

すくなくとも、15年前のリーマンショック暴落の後、ずっと上昇してきた金融商品は、膨大な買い残高となっている。

それらに売りが集中すれば、凄まじい下げとなるのは避けようがない。

おそらく、世界の債券市場はもちろん株式市場も、地獄のような相場展開となろう。

そうなったら、ほとんど人たちが投資どころではないし、税控除も何もあったものではない。

そこからだ、われわれ本格派の長期投資家の出番は。 暴落相場を大バーゲンハンティングに出るのだ。

そして、新NISAの税優遇を、たっぷりと堪能するも良しだ。