中国の不動産会社大手の恒大が、米国の事業で破産申請した。
拡大一途の道を驀進してきた中国の不動産業だが、資金繰り難が深刻になってきたようだ。
報道では、中国の地方政府傘下の投資会社、融資平台が抱える「隠れ債務」の残高は2022年末に1100兆円を超えたとのこと。
隠れ債務の残高は、2019年から50%増えており、急激な膨張ぶりである。
また、地方政府傘下の投資会社が発行する債券残高は、およそ270兆円に上るとのこと。
その一部は、利回りが10~20%にも上昇、つまり返済不安がそれだけ高まっているわけだ。
中国のGDPの30%前後を住宅不動産関連が占めているといわれるが、その分野での不調ぶりは要警戒であろう。
それに対し、中国政府は金利を下げたりしているが、世界の金利上昇傾向には逆行している。
どこまで共産党政権による強力な指導で、住宅不動産がらみの苦境を打破できるかどうかだ。
ともあれ、先進国中心の金利上昇は、40年ぶりのインフレを抑え込もうとしていて、当分は高止まりを続けよう。
その影響は時間が経つとともに、経済活動のいろいろな分野で効いてくる。
たとえば、ジャンク債などを発行して資金調達して来た企業などは、これから大変である。
満期到来で借り換えとなるや、金利が大きく上昇してきている現実に直面する。
これまでは、ゼロ同然の金利負担で資金調達ができた。 ところが、借り換え時には金利負担が跳ね上がるのだ。
もともと信用度の低い企業などが、高い金利のジャンク債発行でもって資金調達してきた。
その資金調達コストが大きく跳ね上がるわけで、各社どこまで耐えられるかだ。
おそらくだが、資金繰りに窮した企業の経営破綻や、ジャンク債などのデフォルト(債務不履行)が続出しよう。
その懸念は時間の経過とともに高まっていく。 金利が上昇してしまっているのだから、どうにもならない。
そう、金融緩和とゼロ金利で膨れ上がるにまかせてきた張りぼての経済に、あちこちで穴が開いてきているのだ。
企業倒産や信用不安といった負の連鎖が広がっていくのは、避けられないだろう。
金利上昇は企業にとってもコスト負担要因となる。 それも、これから企業の業績動向に反映されてくるだろう。
となると、株式市場も債券市場も相当に荒れ模様となっていこう。
われわれ本格派の長期投資家からすると、このあたりはずっと前から読み込んできた展開である。
したがって、驚きもしないし、むしろ大バーゲンハンティングの機会待ちとなる。