岸田首相が日本は資産運用立国を目指すべしと唱えているとのこと。
きわめて結構なことである。 その方向性には、全面的に賛成したい。
ただし、具体的にどうやっていくのかに関しては、大いに注文をつけたい。
国の方針として打ち出したのはいいとして、その実行案を既存の大手金融機関に打診してもらっては困るのだ。
行政の立場からでは、現場に疎い。 それが故に、金融大手にいろいろ打診して政策立案にもっていく。
結果として、いつも金融大手のビジネス拡大に資するような政策となってしまう。
資産運用立国の政策案を作成するにあたっても、その愚を繰り返してもらっては絶対に困るわけだ。
金融収益を上げれば良しのビジネスと、投資家顧客に対する責任をもつ資産運用ビジネスとは、根本的に違う。
もちろん、大手金融機関は多方面で運用ビジネスに携わってはいる。
残念ながら、彼らの運用ビジネスのどれもが、金融収益を上げるためのものである。
それが故に、金融庁がしばらく前から販売手数料稼ぎの乗り換え営業などに厳しい指導をしているではないか。
資産運用ビジネスは、いつでも投資家顧客あってのもので、常に結果責任がついてまわる。
それも、3年はおろか10年20年の運用成果が問われるビジネスである。
ひたすら金融収益を叩きだすことに明け暮れている金融ビジネスとは、時間軸がまったく違うのだ。
逆をいうと、日本には顧客の長期的な資産形成をお手伝いしようとしている運用会社は、ほとんどない。
せいぜい、われわれ直販の投信など、ほんの一部である。 それが日本の現状である。
その上での、資産運用立国を打ち出しているわけだ。 さあ、岸田首相はどこまで本気でおやりになるのだろうか。
ひとつ一番の近道となる案を提示しておこう。 それは、投信ビジネスのプラットホーム会社を設立することだ。
投信の顧客管理業務全般を一手に引き受けてくれる会社ができれば、誰でも簡単に投信ビジネスに進出できる。
誰でも? そう、本気で資産運用ビジネスに携わりたい意思と意欲のある人間なら誰でもだ。
資産運用ビジネスは実績がすべてである。 運用成績さえ積み上がってくれば、顧客資産はどんどん増えていく。
その点、基準価額の計算はじめ顧客口座管理全般を、プラットホーム会社にお任せできれば、本当にありがたい。
となると、多くの我こそはの運用者たちが、投信ファンドの旗を揚げることになる。
気がついたら、資産運用ビジネスの会社が50社100社と立ち上がっていることになるだろう。
投信のプラットホーム会社については、また別に詳しく書こう。