米国の利上げ、終わったわけではない

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14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、11会合ぶりに利上げを見送った。

とはいえ、米FRBのパウエル議長は今年中に、あと2回の利上げを示唆している。

すなわち、いま米国の政策金利は5%~5.25%だが、それを5.6%程度にもっていくというわけだ。

あと2回の利上げ示唆は、インフレを抑制するための措置だが、さあどうなることか。

米国では人手不足などによる賃上げ圧力は続いている。 最近の物価上昇率4%を、どこまで下げられるか。

どちらにしても、すくなくとも年内は5%~5.6%の政策金利を維持するわけだ。

その影響は必ずや経済活動全般に及んでくる。 もちろん、金融マーケットにもだ。

なにしろ、米国では1年3か月前まではゼロ金利下で経済活動が営まれていた。

ヨーロッパでも利上げに踏み切ったのは、昨年の7月からだ。

それに対し、米国では5%台の政策金利、EUでも3%台の金利水準となってきているのだ。

そういった金利上昇の影響が出てこないはずがない。 本格的な影響は、これからが本番と考えていい。

先にも米国の地銀3行が経営破綻し、スイスの大手銀行クレディスイスがUBSに吸収された。

それらは、まだほんの前哨戦にすぎない。 これから、次々と火が噴き出よう。

たとえば、ゼロ金利時に大量に資金調達してきたところは、借り換え時期が到来するや金利負担の重荷に直面する。

上昇してしまっている金利に対応できるだけの経営基盤があれば、資金の借り換えも問題はない。

おそらく、多くが資金調達できず経営破綻を迫られよう。 そういった経営不安は、あっという間に伝播する。

金利上昇による経営不安のニュースが広がれば、企業経営全般で資金調達はますます厳しくなる。

それは信用収縮を招き、カネ余りで膨れ上がった張りぼての経済を一気にしぼませることになろう。

当然のことながら、そういった展開が見え始めた瞬間から、世界の金融マーケットは大調整を余儀なくされよう。

金融緩和バブルが大崩れをはじめるわけだ。 こちらは、売りが売りを呼ぶ展開で収拾がつかない大混乱となろう。

酷いことになっていこうが、われわれ本格派の長期投資家には前々から読み込んでいる展開だ。

冷静かつ堂々たる対応でもって、大バーゲンハンティングに打って出よう。