中野セゾン投信会長の解任ニュースは、多くの投資家に驚きと失望をもたらした。
日本の投信業界の古き悪しき慣習が、なんだかんだ批判される中、われわれ直販投信は着実に地歩を築いてきた。
いまや老舗といわれているさわかみ投信は、直販投信のパイオニアとしてゆるぎない立場を誇っている。
その横で、スルスルと実績を伸ばしてきたのが、セゾン投信である。
つみたて王子と称されるセゾンの中野氏は、いつしか直販投信を代表する顔ともなってきた。
その彼が、親会社の判断で明日をもって解任され、セゾン投資を離れることになったわけだ。
一部のマスコミが、これで直販投信の流れが終わってしまうかのような報道をしている。
ご心配は無用だ。 中野氏が、このまま投信業界から消えていなくなるなんてことは考えられない。
彼には、もっともっと活躍してもらわないといけない。 自分をはじめ、そう思う仲間が一杯いる。
フリーとなる明後日以降、彼がどんな行動に入っていくかはさておき、新しい動きは社会から歓迎されよう。
すくなくとも、中野氏の解任ニュース以降、セゾン投信には憤りの解約が殺到しているようだ。
解約したお客様の多くは、彼が示すであろう新しい展開を待ち望んでいる。
もちろん、社会も大きく反応しよう。 今回の解任劇で資産運用ビジネスの位置づけが明確になってきた。
やたら預かり顧客資産を増やして、ひたすら金儲けしようとするのが、金融の論理である。
そういった金融の論理に対し、資産運用ビジネスの社会的責任は、まったく相容れないものだ。
すなわち、資産運用ビジネスにおいては、集まっていただいた顧客に対する運用責任が、ずっとついてまわる。
やたらメチャに運用資金を集めて、ダボハゼの無責任運用をしていいわけがない。
だから、さわかみ投信は一切ブレることなく直販に徹し、長期投資運用を地道に続けてきたわけだ。
それも、間もなく24年になろうとしているわけで、日本においては別格の存在となっている。
同様に、中野氏も16年間、金融という親会社をもちながらも、直販の投信ビジネスを追求してきた。
さわかみ投信に次ぐ立場を今後も続けていこうとする彼の意思と責任感は、ビクともしていない。
社会も、中野氏の投信ビジネスを待ち望んでいるはず。 それだけの実績と信頼を、彼は積み上げてきたのだから。
後になったら、分かる。 日本の投信の歴史において、今回の解任劇が一つの転回点となったということが。