米国の債務上限問題、よほど健全だよ

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米国議会が、国債の発行上限枠の拡大を承認してくれないと、財政運営が滞ってしまう。

その期日が、6月1日に迫ってきている。 イエレン財務長官は、しばらく前から危機感を訴えていた。

ここへきて、バイデン大統領はじめ政府関係者も、野党である共和党の説得に必死である。

おそらくだが、これまでと同じように、時間切れ寸前で野党からの同意を取り付けるのだろう。

でないと、公務員の給料などの支払いが滞ったりで、公共サービスに支障をきたす。

また、銀行経営に次なる不安が高まってきた時に、米政府として何の手も打てないことにもなりかねない。

ともあれ、放漫財政には歯止めをかけなければいけないとする米議会の考え方は、きわめて健全である。

ひるがえって、わが日本ではなんだかんだと理由を見つけては、暫定予算の上乗せを続けている。

それに対し、財務省は当然のことながら、ブレーキをかけさせようとする。

だが、政治家の間では、とんと放漫財政を危惧する声は聞かれない。

それどころか、なんにつけても優しさ(?)を前面に出して、票につなげようとするばかり。

その結果、国の借金は日本のGDPの2倍を上回り、1%の金利上昇でも利払い負担が3.7兆円になるという有様。

今年の当初予算でも、35兆円の国債発行を織り込んでいる。 これから金利が上がってきたら、どうするのだろう?

国の放漫財政を事実上の財政ファイナンスで強力にバックアップしてきた日銀も、ひどい財務状況となっている。

日銀は国債発行残高の半分強を保有し、少しでも金利が上がってくれば、大きな評価損に直結する状況にある。

だから、なにがなんでも金利上昇を抑え込む政策を続けるしかないわけだ。

といっても、米国やEUとの金利差は広がっており、日本の金利が上昇するのは止めようがない。

たとえば、米国と日本での長期金利の差は、3%ちょっとに拡大している。

より高い利回りを求めて動くのが、マネーの本性であって、3%もの金利差を狙わないはずがない。

つまり、高金利を求めて日本から米国へのマネー移動は、どんどん続いていく。

マネー流出の先では、日本の資金が枯渇化しだして、日本の市場金利も上昇に転じる。

そう、いくら政府や日銀が政策で抑え込もうとしても、米欧との金利差には抗いようがない。

どこかで、日本の金利も経済の現場から上昇に転じていく。 それが経済合理性というものである。

となると、これまでの日本の放漫財政に鉄槌が下り、とんでもない混乱が経済社会に襲いかかってくる。

この図式、残念ながら、避けようがないだろう。 これまでの、なにかにつけての甘えは、吹っ飛ぶことに。