昨日の続きともなるが、世に分散投資として教え込まれているものは、実際なんの役にも立たない。
たまたま、この40年ほど、世界中の株価も債券もずっと高値追いしてきた。
そのような歴史に例のない金融マーケット全般の伸長もあって、もっともらしく信じられてきただけのこと。
現に、リーマンショックの時は、なんの効果も発揮できない様をさらけ出した。
あえていえば、分散投資など金融商品のマーケティング現場において重宝な、もっともらしさにすぎない。
いま現在これこれこういった状況下にあるから、こんな分散投資なら安心できますよと提案できる。
たとえば、株式はリスクが多いから、少なめの投資を心掛けましょう。
債券は安全だから、高めの投資ポジションとし、海外投資も同様に債券中心でいきましょうと提案する。
提案を受けた投資家顧客の方は、なるほど現時点での投資環境を適切に反映している。
その上で、投資リスクにも配慮した安全性の高い分散投資プランだと納得する。
かくして、営業は成功し、いま現時点で最も人気のある(販売しやすい)商品構成の商売が成立する。
ところが、それは現時点での納得と満足であって、時間の経過に耐えられない投資アドバイスとなってしまう恐れは否定できない。
それを、現在分散という。 現時点における、最適なリスク分散かもしれないが、投資運用では最悪だ。
投資というものは、将来に向けて資金を投入することである。 状況はどんどん変化していく。
時間の経過とともに、その分散とやらが効果を発揮できず、逆にマイナスとなったら、お話にならない。
そう、やるべきは時間分散である。 時間の経過による投資環境の変化にも耐えられるようなリスク分散だ。
いま現時点なら、世界的なインフレ圧力の台頭と金利上昇という、大きな波が押し寄せてきている。
ということは、現金の価値が下がり、債券も値下がりリスクが高まっていく方向にある。
ならば、現金保有は少なめにし、債券の投資ポジションは思い切り下げるか、ゼロにしてしまう。
一方、金利上昇によるコスト増が企業経営を圧迫するから、株価全般にもマイナス材料となっていく。
したがって、企業選別を厳格にしインフレや金利上昇を乗り切っていける企業への投資に集中することだ。
いつもと同じことを言っている? そう、われわれ本格派の長期投資家は、いつでも時間分散を配慮している。
というか、起こりうる投資リスクを避けて、なおかつ敢然と攻めるのがホンモノの投資というものなのだ。