下がりそうで、下がらない?

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日本も米国も、株式市場はじめ金融マーケットは、実にしぶとく頑張っている。

どちらも1年前までの、あのすさまじかったカネ余り上昇トレンドの勢いはない。

むしろ、世界的なインフレ台頭と、それを抑えようとする金利上昇で、いつ売りが集中するかの段階に入っている。

いつ売りが集中するかの段階? そう、儲かりそうだで買い上がってきたポジションが大きく膨らんでいる。

先進国中心にカネ余りバブルに乗って、天文学的な金額にまで膨れ上がった買いポジションだ。

それらが売りに転じたら、凄まじい売り逃げとなり、金融マーケット全般に大暴落は免れない。

ところが、どの投資家も巨額の買いポジションを抱えたままで、なかなか売りに転じようとはしない。

すこし経験のある投資家なら、ここからの買いはなく、むしろ早めの売りを心掛けるところ。

なにしろ、米欧などの金利上昇の影響はこれからで、時間とともに企業経営などを圧迫しだす。

となれば、債券はもちろん株式投資においてもマイナス材料で、いまは早く売っておくに如かずである。

そういった投資判断が、さっぱりみられない。 日本も米国も投資家はやたら落ち着いたままである。

表題の、下がりそうで下がらないと書いたのも、そんな現状をみてのこと。

昔から、相場は相場に聞けという教えがある。 このしぶとい相場展開も、それなりの根拠が秘められているのかもしれない。

あるいは、この長期投資家日記でずっと書いているように、機関投資家が動いてこないだけかもしれない。

世界の運用マネーの大半を握っている機関投資家たちが、自分の投資判断で動くリスクは絶対に取らない。

マーケットから離れずをもって運用としている彼らだ、いまの下がりそうで下がらない相場でも、独自の判断はしない。

とにかく、マーケットにしがみついたままから、一歩もはみださないようにしているわけだ。

さて、どちらを採ろうか? 相場は相場に聞けか、機関投資家たちのマーケットしがみつきか?

どう考えても、後者だろう。 マーケットに追随するのを運用としている機関投資家たちだ。

相場は相場に聞けというほどに、彼らが次なる相場展開を読んで自発的な投資行動をはじめているとは、とうてい思えない。

それよりも、熟柿が落ちるように暴落相場がはじまってからの、機関投資家たちの右往左往ぶりが見ものだ。

ともあれ、上がったものは下がる。 大量に買い上がってきたものは、凄まじく売られる。

それが、経済では当たり前のことだ。