世界の機関投資家のほとんどが、短中期の利ザヤ稼ぎをもって投資運用としている。
株価などマーケットでの価格変動を極限にまで追い回しては、利ザヤを抜こうとするディーリング運用しかり。
それが高じて、1秒間に1000回を超す売買を繰り返すことも、お手のもの。
もちろん、先物取引やオプション取引も、きわめて高度な水準まで腕を磨き上げている。
あるいは、スワップ取引などで様々な金融取引の保険みたいな仕事を引き受けて、手数料を稼いでいる。
これらのどれもが、さすが機関投資家とうなりたくなるほど洗練(?)された仕事ぶりである。
とはいえ、彼らの致命的な欠陥は、マーケットにどっぷり浸かってマネーゲームに興じていることだ。
つまり、どこかで金融マーケットがドスーンと大きく下げたりすれば、彼らの利ザヤ稼ぎのベースが吹っ飛ぶ。
暴落相場ともなると、ディーリング売買どころか、一直線の下げに叩き潰される。
先物やオプション取引も、暴力的な下げには打つ手なしで、ただ見守るだけとなる。
スワップ取引など契約取引は、カウンターパーティー・リスクといって、契約の相手先が吹っ飛んだりして、契約そのものが宙に浮いてしまう。
どれもこれも収拾のつかないような大混乱を招き、機関投資家の運用者は右往左往するだけで、なにもできない。
まず間違いなく、大きな投資損を抱え込むだろう。 そして、売るに売れない投資残を大量に抱えて、評価損の急拡大に頭を抱えるだろう。
そういった、運用者にとっては地獄のような修羅場が、来る金融緩和バブルの崩壊時には待ち構えている。
それもこれも、マーケットにどっぷり浸かって、ただただ価格変動を追い回してきたマネーゲームの果てである。
その点、われわれ本格派の長期投資家はいつでもマーケットとはつかず離れずで、自分たちの投資スタンスを守る。
以前からずっと繰り返しているように、この金融緩和バブルからは遠く離れた投資ポートフォリオを作成している。
むしろ、バブル崩壊を待ち構えているわけだ。 大きく下げたら、断固とした買いを入れてやろうと。
この違いは決定的である。 もちろん、われわれ長期投資家のポートフォリオも、暴落相場を100%無事に乗り越えられるとは言わない。
大きな下げに、ある程度はお付き合いさせられるが、致命的な傷には至らない。
そして、暴落相場での大バーゲンハンティングで、一気に運用成績を伸ばすことになる。
これが、本当の投資運用というものだ。 それをお見せできる日が近い、なんとも楽しみである。