米国の大手金融機関が7000人ほどの人員整理に入っているとのこと。
金融緩和政策に乗って、それ行けどんどんで業容を拡大してきたのは、つい最近までのこと。
ところが、ここへきて収益見通しが悪くなってきたのを見て、早めに陣容の縮小に動きだ出したのだ。
ちょっと遡ると、21年末には17兆ドルものマイナス金利国債を世界の投資家は買いまくっていた。
満期まで保有したところで、元利合計あわせてもプラスの収益は見通せないのが、マイナス金利国債である。
そんな投資(?)案件に、17兆ドルもの資金が買い群がっていたわけだ。
買っていた根拠は、実質金利でみるとプラスになるといった机上の収支計算がベースだ。
そして、空前のカネ余りを背景に、後からどんどん買ってくるので、いつでも売り抜けて値ざやを稼げるといった打算。
ところが、昨年の3月から米国は金利引き上げに舵を切った。 EUも7月からは金融緩和に終止符を打った。
それもあってか、マイナス金利国債という言葉は、とんと聞かれなくなった。
逆に、世界の債券投資家は昨年20%以上の損失を出しているといった報道が、ひんぱんになってきた。
株式投資も、この1年半というもの、じわじわと高値を切り下げてきている。
瞬間瞬間では、株価の大幅戻りといった活字がマスコミ紙面をにぎわすものの、どの投資家もさほど儲かっていないはず。
こう見てくると、これまでの壮大な金融緩和バブルも、あちこちで空気が抜け出してきているなと感じる。
もっとも、いまだ世界を揺るがすような大きな崩れには至っていない。
それもあって、世界の機関投資家は金融緩和バブル相場にどっぷりと浸ったままでいる。
彼らからすると、債券市場も株式市場もディーリング運用するには十分に堅調となる。
それどころか、下手に相場から離脱して運用成績に差がつけれらのだけは避けようと、それしか考えていない。
そして、いざ大暴落に至ったら一斉に売りはじめると同時に、不可抗力低な棒下げだと言い逃れる。
世界の運用マネーの大半を担当する機関投資家が、このように投資家とは到底いえないレベルの低さだ。
それが、世界の運用の現実である。 たしかに運用の理論や高度なディーリングのテクニックでは、プロといえよう。
しかし、大局観をもって顧客資産の保全を意識しつつ運用するといった、投資運用のプロとは程遠い。
したがって、彼らが泡をくったように売り逃げに走りだすまで、金融マーケットはもたもた飛行を続けるのかも。
とはいえ、もういつどこで、大きな下げ材料が飛び出てもおかしくない。