いよいよ日銀の暴走が止まらなくなってきたようだ。
今週の政策決定会合で、日銀は金融緩和政策を断固継続する姿勢を確認した。
その上で、金融機関に国債の買い増しを要請した。 金利0.1%で資金を貸し付け、それで国債を買えというのだ。
日銀の長期金利抑え込み姿勢がここまで来ると、もう暴走というしかない。
10年物国債の値下がりをなにがなんでも食い止め、長期金利を0.5%以下に抑え込もうというが、どう考えても無理。
なぜなら、長期金利の上昇圧力は、海外の投機筋による10年物国債の売りによるものだけではない。
経済全体からの圧力なのだ。 日本と米国・英国・EUとの金利差が3%前後にまで広がっている。
これだけ金利差が広がると、より儲かる方へ向かっていくのは投機マネーだけではない。
経済全体の資金移動も、より有利なビジネス機会が得られる方へ動き出すのは避けられない。
その動きは、日本の金利が欧米並みの水準に上がってくるまで止めようがない。
水が高きから低きに向かうのと同じこと。 高低差がなくなると、放っておいても流れは止まる。
ところが、そういったごく自然の流れを、日銀はあくまでも力づくで抑え込もうとしている。
それも、いまや金融機関にも国債購入を要請するまでに至っている。 長期金利の完全なる公的管理である。
その先では、金利統制も辞さないという気なのだろうか。 管理経済、統制経済、考えただけでゾッとする。
そもそも日本は自由経済下にある。 計画経済でもなければ、戦時中の統制経済でもない。
経済のベースである、需要と供給の折り合うところに、出来るだけ任せてしまおうとする経済体制下にある。
それが、マーケットでの価格動向となり、金利変動ともなっていく。
いってみれば、その時々の需要と供給の力関係を表現しているのが、価格であり金利なのだ。
そういった、マーケットで形成される価格や金利を政府なり日銀なりが力で抑え込むのは、経済活動を歪めることになる。
自由経済の否定であり、経済合理性を無視することで得られるものは、なにもない。
むしろ、弊害ばかりとなる。 弊害の最たるものは、経済の現場からのしっぺ返しである。
しっぺ返し? そう、日銀が力まかせで金利上昇を抑え込めば抑え込むほど、反発のエネルギーは蓄積されていく。
そして、いつかは金利上昇の圧力に吹き飛ばされる。 それが、経済の現場からのしっぺ返しだ。
その時は、ムダな抵抗を重ねて買いまくってきた国債が巨額の評価損となって、日銀に重くのしかかってくる。
当然のことながら、日銀の信用は失墜し通貨価値の下落を招く。 つまり、インフレとさらなる金利上昇だ。
国民にとっては、えらい迷惑となる。