世界的にインフレ圧力が和らいできている、そういった報道が相次いでいる。
現に、いまは厳冬の真っただ中というのに、原油や天然ガスの価格が下がってきている。
穀物価格も非鉄金属も昨年の急騰ぶりとは裏腹の鎮静化だ。
それらをみるに、インフレの勢いが和らいできていると読みたくなるのだろう。
株式市場でも楽観が増えているようで、ヨーロッパ株式市場などは急ピッチで戻してきている。
さてさて、このインフレや株式市場のトレンドだが、どう判断したものだろうか?
先ずは、世界的なインフレ圧力だが、そう簡単に収まっていくとは思えない。
下がってきている原油や天然ガス、そして非鉄金属などは市況商品で上下変動は毎度のこと。
なにかあれば、すぐまた高騰する。 一方、穀物などは天候によって収穫予想が大きく振れる。
したがって、最近の原油や穀物価格の動向をもって、インフレ鎮静化というのはどうかなだ。
その点、賃金上昇圧力に代表される構造的なインフレ要因は、そう簡単に収まらない。
なぜなら、ここまでのインフレによる諸物価の上昇分は生活コストに跳ね返っている。
それが賃金上昇圧力となって、さらなるインフレ要因として反映されつつある。
また、かりにインフレ率が収まってきたとしても、それまでに高騰した分が元に戻るわけでもない。
つまり、ここまでのインフレによって上昇した価格水準のほとんどが、そのまま定着するのだ。
となると、企業の経営でも仕入れ値や人件費などのコスト上昇をどう吸収していくかが、これから問われるわけだ。
それらは、ひとつ間違えると収益圧迫要因となる。 つまり、株価動向もそう楽観は許されないはず。
もう一つ注目したいのは、ここまでの金利上昇が企業経営や金融マーケットにどう効いてくるかだ。
昨年、米国の債券市場は18%という歴史的な下げを記録した。
それでも債券市場そして投資家は、さして動揺していないようだ。
ということは、米欧の金利上昇が本格的に企業経営や金融マーケットを襲うのは、まだこれからなのか。
そのあたり注目したい。 すなわち、金融緩和バブルがいつ崩れるかだ。