AIとかコンピュータ運用の限界

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AIによる運用指図とか、ロボアドといわれるコンピュータ運用とかが急速に普及してきている。

これは世界の年金など機関投資家が、マーケット動向を如何に上回るかをもって運用としているところから派生している。

先ずは平均株価などの価格変動があって、それを上回る成績を残すのが運用のプロというわけだ。

平均株価など運用の目標となるベンチマークさえ上回っていれば、優れた運用と高評価される。

そういった作業なら、AIとかロボアドにやらせておいた方が、よほど賢い。

なにしろ、時々刻々の株価変動の集合体であるベンチマークについてかなければならない。

刻々と変動する個々の株価を集合させるわけだから、きわめて単純ながら膨大な作業量となる。

となると、人間の手作業よりもコンピュータによる運用の方が、はるかに効率的でありコストも安い。

かくして、AIとかロボアドの運用とかが、ますます重宝がられる流れとなるわけだ。

このあたり、われわれ本格派の長期投資家からすると、そんなの長期の資産形成において万能ではないよとなる。

早い話、世界の株価動向をみるに、昨年の夏ごろから徐々に上値を切り下げている。

その緩やかな下降トレンドに対し、ベンチマークを上回っていると豪語したところで、資産そのものは目減りしているのだ。

それどころか、世界的なインフレ圧力と金利上昇によって、どこかで大きな暴落局面に遭遇したらどうなるか?

必死に追いかけているベンチマークと一緒に奈落の底へ堕ちていくしかない。

なにしろ、平均株価など設定したベンチマークを上回るようプログラミングされている。

過去の膨大なデータを高速処理するのは抜群でも、暴落を予知してさっさとベンチマークから離れるなんて芸当はできない。

かくして、来年あたりはコンピュータ運用も、その先の機関投資家運用においても、大きな試練が訪れよう。

長期の投資運用は、将来の納得つまり価値の高まりに対し、いまの不納得つまり暴落局面で買うものである。

したがって、こんな金融緩和バブルの最終局面では、さっさとマーケットから離れて、バブル崩壊を待つ。

ずっと前から、同じことを主張しているではないか? 一体、いつ暴落するのか?

それは、神のみぞ知るのところ。 どこかで、金利上昇の刃でバブルが崩壊するのは間違いないが。

だから、コンピュータなどにプログラミングしようがないし、太刀打ちもできまい。

そこに、長期の投資運用の醍醐味が隠されているわけだ。