ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得している人達は、20万人を大きく超えている。
FPは顧客の収入状況や年齢に応じて、資産管理から資産をどう殖やし守っていくかまで、多種多様なアドバイスをしてくれる。
そんな中、金融資産の投資運用アドバイスにおいて、抜本的な見直しが迫られている。
世界的なインフレ圧力と金利上昇によって、この40年間FPたちが学んできた方法論が、根底から崩れようとしているからだ。
その第1が、債券投資は安全で安定的な財産づくりとなる、そういった教えが通用しなくなる。
たしかに、この40年間は世界的な低インフレと長期金利の低下傾向で、債券投資には追い風が吹き続けた。
ところが、世界的なインフレ圧力がもたらしている金利上昇で、いまや逆風が吹き荒れはじめているのだ。
年初来すでに世界の債券投資家は20%強の資産減少に見舞われているが、それはまだ序の口である。
もう既に米国の長期金利は4.24%にまで上昇してきているように、債券投資には赤信号がともっている。
いずれ時間の問題で、世界の債券市場は金利上昇に押しつぶされていく。 それは避けようがない。
第2に、株式投資はインデックスの方がコストは低いし、安定的な運用が期待できるという教え。
金利上昇によるコスト上昇は、財務基盤の弱い企業の経営を圧迫する。
とりわけ最近はどの企業もゼロ金利と大量の資金供給に甘えてきたから、多くの企業が脱落していくのは必至。
そうなると、玉石混淆の企業を抱え込んでいるインデックス投資は、長いこと低位低迷を余儀なくされる。
われわれ本格派の長期投資家のように、企業を厳選しているアクティブ運用とは、大きな差となる。
第3に、年齢に応じて株式と債券投資の比率を変えていくとする方法論も、空中分解する。
すなわち、若い間は時間的にもリスクを取れるから、株式投資の比率を高めて積極的な資産増加を図る。
年を取っていくにつれて、債券投資の比率を上げていって、リスクを減らした安定運用に転換するという考えだ。
残念ながら、インデックス運用で大した成績は望めないは、債券投資で大きくやられるはでは、お話にならない。
第4に、よくいわれる分散投資においても、その限界を曝け出す。 まだ他にも、いろいろ指摘したい。
要は、40年にわたって株価も債券価格もずっと上昇していった時代が終わったということ。
その対応については、ほとんどのFPは学んでいないはず。 テキストをはじめ、作り直しを迫られよう。