ずっと以前から、金融緩和政策は絶対におかしい、インフレは必ずやって来ると主張してきた。
金利をゼロにして資金さえ大量に供給すれば、経済は成長するとされてきたが、そうはいっていない。
ただ、金融マーケットが大成長(?)し、一部の人々の間で金融所得だけが異常に膨れ上がっただけだ。
その横で、大多数の人々の低所得化が進んだ。 経済そのものは、張りぼての度合いを強めている。
また、20世紀の社会的現象となってきた中産階級の勃興だが、その層の没落が顕著となってきている。
これでもかこれでもかと深掘りしてきたマネー経済だが、ここへきて経済合理性のしっぺ返しを受け始めている。
それが、世界的なインフレ圧力の台頭と、それに伴う金利上昇である。
いかにマネー経済が巨大化しようと、金利上昇という刃には勝てない。
これから金融マーケットを皮切りにして、経済のあらゆる分野で金利上昇の影響が及んでいくことになる。
市場空前のカネ余りでバブル化してきた株式市場や債券市場だが、もういつ暴落に入っていってもおかしくない。
それを引き金として、ゼロ金利に甘えてきた企業や金融機関の経営が、ふるいにかけられる。
ゾンビ企業を中心にして、相当に多くの企業や金融機関が淘汰の嵐に曝されよう。
当然のことながら、大量の失業発生は避けようがない。 大きな社会問題となろう。
とはいえ、今度はリーマンショックまでのような、国や中央銀行によるテコ入れは期待できない。
なにしろ、金利が上がってきている。 どこの国も財政を肥大化させて、国債を大量に発行してきた。
その金利負担が発生すると同時に、新規の国債発行がきわめて難しくなる。
なにしろ、金利コストが急増しているし、そもそも金融機関などの買い手が、それどこではない状況に追いやられている。
一方、中央銀行も保有国債の価格下落による財務悪化に苦しんでいて、マーケット下支えどころではない。
おそらく、経済活動は大混乱となり、急激な縮小を余儀なくされよう。 適者生存の淘汰が進む。
そこからだ、真に実力のある自助自立の個人や企業が前面に躍り出てくるのは。
大量の失業も、強い企業へ吸収されていく。 これを不況の効用というが、経済の健全化には不可欠である。
前から言ってきた、われわれ本格派の長期投資家の出番である。