今月の20日21日に開催される、全米公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げが予測されている。
今年4回目の利上げで、合計すると3%も政策金利が引き上げられることになる。
それと並行して、大量に資金供給してきた金融緩和の後始末として、金融の量的引き締めも急いでいる。
その理由は、一にも二にもインフレ抑制ということになっている。
現に、コロナ不況の反動で需要が急激に高まって、米国などでインフレの火が燃え広がった。
そのインフレも一時的なもので、来年には鎮静化してくるだろうといった希望的観測が出ていた。
ところが、8月末のジャクソンホール会議で、パウエルFRB議長はそういった希望的観測を打ち砕いた。
パウエル議長の講演では、インフレを徹底的に抑え込むまでは、一層の金利上昇も厭わないということだ。
どうやら、世界的なコストプッシュインフレの根は深く、とにもかくにも抑え込むべしということなんだろう。
その中には、賃金上昇圧力が加わってきている。 インフレという断面からすると、やっかいな問題である。
インフレが生活費の上昇となって家計を苦しめ、それが賃上げ要求となって、インフレをさらに煽るわけだ。
このインフレ相乗効果は、景気が相当に落ち込むまでは、ズルズルと続くことになりかねない。
そういうことなら、強引にでもインフレを抑え込んだ方がいいと判断しているのだろう。
さて、ここからが今日の本題である。
米国で4回目の政策金利引き上げといっても、ゼロから3%になるだけのこと。
たまたま、インフレという実体経済からの圧力で引き上げられたが、ようやく通常の金利水準に戻ってきたにすぎない。
そう、世界とりわけ先進国では長年の金融緩和ボケで、ゼロ金利に慣れ過ぎてしまった。
そもそも、金利がゼロで経済など動くわけがなく、ここへきての金利上昇に驚く方がおかしいのだ。
世界的なインフレ圧力には、いろいろな背景があってのもの。 だが、経済合理性からの刃という面もあるのだ。
経済合理性? そう、モノやサービスには価格があって、それをつなぐ経済活動にも金利があって当たり前。
その金利をゼロに抑え込んで、経済が動くと考えるなど、不合理きわまりないこと。
ようやく世界が合理的な経済活動を指向しようとしてきたのだ。 インフレ台頭とはいえ、結構なことである。
ひとり、その流れに逆らっている日銀も、もう時間の問題で経済合理性の軍門に降ることになる。
無理を押し通してきたから、ひどい混乱となろうが。