企業経営、これから試されるぞ

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米国の政策金利は、すでに2.25%引き上げられた。 次回のFOMC(全米公開市場委員会)でも、0.5%~0.75%の引き上げが予測されている。

また、6月からはじまった米FRBによる金融の量的引き締めも、着々と進められている。

ヨーロッパ中央銀行も政策金利の引き上げと、金融の量的引き締めに入った。

ひとり日銀だけが金融緩和政策に固執している。 しかし、物価上昇の波はかなりのピッチで家計の負担を高めている。

いずれ時間の問題で、日銀も利上げの方向へ舵を切らざるを得まい。

それと、日本の国内総生産(GDP)の1.3倍と、異常に高まった日銀の財務に対しても圧縮を迫られよう。

普通、中央銀行の財務規模は、その国のGDPに対し、10%台にあるもの。

それが、米FRBは40%ほど、EUの中央銀行は60%にまで高まった。 日銀の130%より、はるかに小さい。

それでも、米欧の中央銀行は利上げとともに、急いで財務を圧縮しようとしているわけだ。

一方、日銀は長期金利を0.25%に抑えておくべく、国債の指値買いオペで10年物国債の無制限買い取りを実施している。

まさに、ひとり日銀だけが世界的なインフレ圧力と金利上昇という大河の流れに竿をさし続けているわけだ。

そのうち、どこかで日銀も大河の流れに屈しよう。 その時は、日本の金利も跳ね上がる。

そこからだ、企業経営全般に強烈な淘汰の嵐が吹きすさぶのは。

新興企業をはじめ、多くの企業がゼロ金利と、資金はいくらでも供給される事業環境に甘え切ってきた。

そんな企業群に、金利負担が重くのしかかってくるのだ。 そして、資金繰りも急に苦しくなる。

相当に多くの企業が、金利上昇や資金繰りに対応できない状態に追い込まれよう。

ゾンビ企業をはじめ、ビックリするような企業までもが経営破綻に追い込まれよう。 大量の失業も発生する。

いざ、そうなっても、国や日銀はもうなにもできない。 金利上昇の対応に、国も日銀も右往左往しているのだから。

どれもこれも、未曽有の事態というものではない。 普通の経済環境に戻ってきただけのこと。

ところが、これまでは金利をゼロにし金融を緩和しさえすれば経済は成長する。 そういって、カネあまりバブルを醸成してきた。

そのカネあまりバブルが、インフレと金利上昇という刃によって崩され、金利のある普通の経済に戻ってきたわけだ。

多くの企業が適者生存で淘汰されるのは、経済ではごく普通の現象である。 ゾンビ企業を大量に生かしてきた政策の方が、おかしい。

また、大量の失業が発生しようが、それは生き残っていく強い企業群へ吸収されていくだけのこと。

企業の淘汰と労働力の大移動は、より強い経済主体へのシフトであり、それを不況の効用という。

どれもこれも、健全な経済では当然のことで、むしろ歓迎である。