金融マーケット、歴史的な転換点

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51年も運用の世界に身を置くと、金融マーケットの変遷を実感する。

その中で特筆できるのは、金融がいつの間にか経済の主役顔をするようになったことだ。

経済は人々の生活と、それを支える生産と供給活動とが合わさったものである。

そして、金融は経済の血液というか潤滑油の役割を果たす、いってみれば重要な脇役である。

ところが、この30年ほどで、脇役のはずの金融が経済を動かす主体といった立場に躍り出てきた。

一例をあげれば、金融緩和で資金を大量にバラ撒けば、経済は成長するという政策だ。

それで、金利をゼロにし、資金を大量に供給する政策を、先進国を中心にずっと採用してきた。

マネーの供給を増加させることで、経済活動を活発化させるというわけだが、その成果はどうであったか?

この30年間どこも、それほどの経済成長にはつながっていない。 大成長したのは、金融ビジネスだけだ。

その結果、一部の人々の金融資産は爆発的な蓄積となっているが、大多数の人々の所得はむしろ低下気味である。

つまり、経済の本来の姿である、経世済民とは程遠い展開となっているのだ。

そのあたり、経済の現場から「もう無理だぞ」と、猛反省を迫ってきだした。

つまり、インフレ圧力の高まりだ。 経済の現場から、マネーマネーでやってきた反動の刃を突き付けられてきたのだ。

先進国中心にマネーの追求というか、マネーゲームに明け暮れてきて、世界的に投資不足が顕著になっていた。

それが、エネルギーや資源など多方面で、コストプッシュ型のインフレにつながってきたのだ。

そんなコストプッシュ・インフレに、大量にバラ撒いてきたマネーが向かい出すと、どうなるか?

火に油で、とんでもないインフレに発展してしまう可能性は否定できまい。

そうなると、経済活動全般に大混乱をきたし、人々の生活を大きく圧迫することになる。

なんのことはない、主役顔した金融が経済を荒らしまくり、生活者に負担を押し付けることになる。

こう考えてくると、米FRBやヨーロッパ中央銀行が金利や金融の正常化に舵を切りだしたのは、必然と言えよう。

つまり、金融主体経済からの撤退戦である。 それも、襲いかかりつつあるインフレに追いまくられながらだ。

これから金利は上昇のサイクルに入っていき、金融は縮小を免れない。 そう、金融緩和バブルの終焉だ。

となると、金融マーケット全般の大崩れは避けられず、しばらくの間は世界経済も大混乱に陥ろう。

もはや覚悟しよう。 それが、健全な経済へ戻っていくに、避けて通れない道なのだから。

もちろん、われわれ長期投資家にとっては待ってましたの方向である。