金利や金融の正常化に、米FRBは動き出した

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報道では、米FRBはここから3年間に3.5兆ドルほど資産を圧縮するという。

9兆ドルにまで膨れ上がった財務規模を、5.5兆ドルにまで縮小させるのだ。

圧縮といっても、保有している国債や住宅ローン債権の満期償還を吸収していく方法を取る。

したがって、保有資産の市場売却といった手段を取らないから、国債価格などの下落には直結しない。

3月からはじまった利上げに続き、保有資産の圧縮に入っていく米FRBの姿勢には、ようやくまともな方向に踏み出したなと評価できる。

そもそも、米FRBの財務規模が米国のGDPの40%前後にまで膨れ上がったこと自体が、異常だった。

いくらコロナ対策や景気落ち込みを防ぐとはいえ、異常なる金融緩和の行き先はインフレ到来である。

いまはウクライナ問題などで、エネルギー価格や食糧価格の高騰からのインフレを騒いでいる。

しかし、異常を超えて過剰に供給してきたマネーが、インフレの火に油を注ぐのは眼に見えている。

それを抑え込むには、米FRBが利上げとともに資産圧縮で過剰なマネーを吸い上げるに限る。

これをきっかけに、金利や金融の正常化の方向へ第2弾、第3弾と米FRBが手を打ってくれるのを期待しよう。

その過程では、金融緩和バブルの崩壊も覚悟しておこう。 過剰にバラ撒かれたマネーが収縮していくのだから、バブル崩壊は避けられない。

一方、日本はどうか? 日銀は金融緩和をなにがなんでも続けようとしている。

また金利も、10年物国債の流通利回りを0.25%に抑え込むべく、無制限に指値買いするオペレーションを実行している。

その結果、海外とりわけ日米の金利差拡大で円安を招いて、貿易収支悪化を加速させている。

既に、36兆円ほど買い込んだ株式ETFを含め、一体どこまで日銀は突っ走るのだろう?

ちなみに、日銀の財務は日本のGDPの130%と、どうにも理解できない水準にまで膨れ上がっている。

おそろしく頑迷なまでに金融緩和を継続させている日銀にとって、金利や金融の正常化という考えはないのだろうか?

はっきりしているのは、日銀といえども経済合理性に逆らい続けることは不可能。

いつか必ず、大きな鉄槌を食らう。 すなわち、インフレと金利の急騰、それとカネ余りバブルの崩壊による経済社会の大混乱である。

バブルに踊っている人達は好きに暴落相場を右往左往すればいい。

迷惑なのは一般生活者である。 政治も日銀も、どう責任を果たすのだろう?