米FRBは既に金利引き上げ政策に舵を切った。 ヨーロッパ中央銀行も夏ごろから利上げに入る。
ところが、日銀は長期金利を0.25%より上へは行かさないぞと、国債の買い指値オペレーションを実行に移している。
どちらに分があるかとなると、いうまでもなく米FRBやヨーロッパ中央銀行だ。
なにしろ、世界的にエネルギーや資源そして食料などの価格が上昇し、インフレの傾向が強まる一途である。
それを抑え込むというか、すこしでもインフレ圧力を軽減させるには、利上げに走るしかない。
しかるに、日銀がいくら金融緩和政策に固執したところで、大河の流れに逆らうようなもの。
早晩、押し流されるのは眼に見えている。 そんなこと、経済の常識からすると至極当然の話である。
なにしろ、これから金利の重みが、ずっしりと効いてくるのだから。
先ずは、経済活動の現場で価格が上昇してくるにつれ、市場での取引金利も上がっていく。
市場での金利上昇は、債券保有者にとって悪材料そのものとなる。
なにしろ、これまで長くゼロ金利が続いたこともあって、保有している債券はいずれも低利回りものばかり。
となると低利回りの保有債券を売って、より高利回りのものへ乗り換えようとする行動が、投資家の間ではじまる。
この乗り換え売りが債券価格の下落、つまり債券利回り全般の急上昇を招く。
そうなると、もはや政策金利など無視もいいところ。 というか、もう誰も止められない。
なにしろ、保有債券を売るのは投資家の自由であり、一刻も早くより高い利回りの債券に乗り換えようと、みなが殺到するのだから。
その間にも、ジャンク債など信用度の低い債券は、片っ端から売り込まれる。
それが、債券利回りの急上昇をどんどん加速させることになる。
世界がそういった動きになってくると、日本の債券市場も例外なく総崩れに入っていく。
つまり、日銀がどれほど頑張ったところで、歯も絶たなく吹き飛ばされよう。
それどころか、総発行数の半分近くを保有している国債の急落で、日銀はとんでもなく巨額の評価損にのたうち回ろう。
これが、金利の重みである。