世界的なカネあまりで、すごい株高が続いている。 その背景には、行き場を失ったマネーの株買いがある。
米FRBを筆頭に先進各国の中央銀行が、景気が本格回復するまでは、長期金利はなにがあっても上げさせないぞと断言している。
国債や住宅担保ローンなどを超がつくほど積極的に買い入れて、市場に資金をどんどん供給している。
その横で、各国政府はコロナ禍による景気落ち込みを打破すべく、巨額の財政出動を連発している。
さらには、たとえば米国では失業対策給付金ということで、一人当たり15万円を配っている。
そういった、これでもかこれでもかの資金供給のかなりが、ホットマネー化して株式市場に流れ込んで来ているのだ。
いつでも儲け場所を求めて、自由自在に動きまわるのが、マネーの本性である。
実体経済での資金需要がそれほど大きくない、つまり儲からないとみるや、マネーは値動きを求めて金融市場などへ流れ込む。
それが、余剰資金のホットマネー化である。 流れ込むところは、儲かりそうなら、それこそどこでもいい。
いま巨額の資金がNY市場はじめ世界の株式市場へ流れ込んでいるのも、ホットマネーからするとごく自然の現象である。
なにしろ、値動きが軽い。 世界的なカネあまりで、大きく売られる懸念など、まったくといっていいほど感じられない。
どこかで売り崩しが出てくるのでは、そういった不安がないとなれば、買い方は気が楽である。
安心しきって、買いポジションを抱えていられるし、さらなる買い上がりに入っていける。
ホットマネーからすると、まだ当分は株買いを続けられる。 なにしろ、他にこれといってより儲かりそうな投資や投機の対象がないのだから。
これが、最近の株高で案外と見過ごし勝ちな、隠れた株高背景といったものである。
そう、力強く株価上昇が続いているというよりも、カネあまりで安心しきった買い持ちが続いているだけのこと。
したがって、それほど強い上昇相場ではなく、ちょっとした売りが出たら簡単に崩れ出すと考えていい。
われわれ本格派の長期投資家は、バブルの匂いのするものはどんどん売っていこう。
そして、大きな崩れがあっても持ち続けようと思える投資対象だけに絞り込んでおくのだ。