米国の10年物国債利回りが一時3.23%に急上昇し、7年4か月ぶりの高水準となったことで、昨日の米国株は大きく売られた。
長期金利が上がっても、せいぜい3.11%前後だろうと読んでいた投資家や市場関係者の間で、昨日は緊張感が走った。
といっても、こんなのはまだ始まりの始まりでしかない。 このままストレートに長期金利が上昇トレンドを追って行くとは思えないが、長期的な方向はずっと上である。
長期金利の方向はずっと上? そう言い切れるのは、まさに7年4か月ぶりの高水準という事実にある。
7年4カ月もの長い間、長期金利は3.23%以下にあったわけで、それだけ米国債など債券の買いポジションは膨らみ続けてきた。
巨額に膨れ上がった債券ポジションが、長期金利3.23%への急上昇で、多かれ少なかれ相当な評価損を抱え込んだ。
その評価損は長期金利がこれからさらに上昇すると、急速に膨れ上がっていくことになる。
一部の投資家でも評価損の膨れ上がりに堪えられなくなるや、投げ売りがはじまる。
すると、そこから先は投げ売りが世界中で連鎖していき、債券価格全般は大崩れとなる。
つまり、長期金利はどんどん上昇していくことになる。 これを市場金利の上昇というが、一度はじまったらもう誰も止められない。
もっとも、米国の長期金利がまた下がれば、昨日の緊張感は柔らぎ債券投資家はほっと胸をなでおろす。
そうはいうものの、世界的にみて債券ポジションが巨額に膨れ上がっているのは、隠しようもない事実。
歴史的にみると、1983年から米国の長期金利は下落の一途をたどってきた。 その間、債券価格は上昇トレンドを追ってきた。
つまり、35年間もの間、米国の債券投資家の買いポジションは膨らみ続けてきたわけだ。
世界の債券市場も米国に倣えで、拡大し続けてきた。 この重みは半端ではない。
どこかで膨らみ過ぎた債券ポジションの重みに耐えられなくなった売りが出だす。
それを合図に、世界の長期金利はじわりじわりと、そしてどこかで急上昇に入っていくことになろう。
われわれ長期投資家は、債券相場の崩れと長期金利の上昇は、ずっと前から読み込んだポートフォリオを作成している。
長期金利の上昇いつでも来いで、準備万端である。 というか、そこで起こるであろうマーケットの混乱を虎視眈々と待っている。