最近、メディアなどで株式投資のパラダイムが変わったという報道が多くなっている。
モノづくり企業など伝統的な産業の株価が冴えない中、フェイスブックやアマゾンなど新しいビジネスに投資家マネーが群がっている。
どれほど市場評価や投資家人気が高まっているかは、時価総額ランキングに表れる。
それを見るに、上位企業の顔触れが様変わりとなっている。 それだけ株価が高く買われているわけである。
日本株市場でも、同様の現象に沸いている。 新興ビジネス勢力の株価評価は目覚ましい。
そういった株式市場での人気や時価総額ランキングをもって、投資のパラダイムが変わってきているというわけだ。
株価は景気や経済の先行指標といわれるように、世の中の流れを先取りする格好の象徴である。
その意味で、新興ビジネスの台頭には興味深く注目していきたい。 新興という冠が取れた時には、そのビジネスが産業界の主力となっているわけだから。
一方、冷静な見方も忘れまい。 そもそも、米国でいえば9年越しの株高を支えているのは、世界的な金あまりの要素が大きい。
リーマンショックで株価は大きく下落し、世界の景気も一気に冷え込んだ。 なんとかしなければということで、先進国中心に史上空前の資金供給に走った。
あり余ったマネーの一部が株式市場に流れ込み、全体的な株価底上げをした。 それだけでは物足らず、一部の新興ビジネス買いに突出してきているわけだ。
急成長している企業だからということで、PER(株価収益率)やPBR(株価株主価値倍率)が50倍とか、100倍もあっておかしくないと、投資家期待は膨れ上がるばかり。
これは、いつか来た道である。 1998年から2000年初めにかけての世界的なITバブルも、投資のパラダイムが変わったといわれたものだ。
その昔、1960年代後半から70年初めにかけて,ゼロックスやコダックといった高成長企業をニフティ・フィフティと呼んで、天井知らずで株価を追いかけた投機バブルもあった。
どちらのケースも、株価がバブル投機によって、大きく買い上げられている。 時価総額も、みるみる巨大化していっている。
その現象だけを見るに、新しいビジネスの台頭だとか主力産業が入れ替わるとかで、大騒ぎしたくもなる。
しかし、しょせんバブル投機の一環だった。 バブルが弾けるや、たちまち普通の企業並みの株価まで転げ落ちていった。
今回の、パラダイム変化とやらも、バブル部分と新しい本質的な力の台頭とを、しっかりと見分ける必要がある。
その作業を徹底しておけば、バブルが弾けて株価が大きく下落した時に、ゴキゲンの買いができる。