投信の販売手数料は、以前と比べかなり下がってきた。 投資家顧客にとっては結構なことである。
だが、投信の販売で手数料をがっぽり稼ごうとしてきた証券、銀行、郵貯などの間では苦々しい傾向である。
彼らからすると、収入源としての期待が削がれていき、投信販売のビジネス妙味は薄れていくことになる。
これから、業界全体ではどんな変化が見られるのか、のんびり眺めていこう。
のんびり? そう、さわかみファンドでは設定当初から販売手数料ゼロで来ているから、別にどうってことない傾向だから。
一方、投信の運用ならびに管理コストを賄う信託報酬の引き下げ競争には、それなりに関心がある。
平均株価などのインデックスにコンピュータ対応するパッシブ運用なら、リサーチコストがかからないから、信託報酬は相当に下げられる。
とはいえ、ゼロにはできない。 顧客口座の管理手数料などは、そうそう引き下げられないのだから。
では、個別株をていねいにリサーチして組み入れていくアクティブ運用はどうか?
こちらは、企業リサーチを担当するアナリスト陣や運用者を抱えるコストを、やみくもに引き下げるわけにはいかない。
それこそ、安かろう悪かろうの運用になってしまう。 悪かろうは、成績だけの話ではない。
どんな企業に投資していくかの選別において、人間性やモラル、美意識や社会正義感などが厳しく問われる。
そうなのだ、アクティブ運用での信託報酬には、個別企業をていねいにリサーチしていくコストだけではないのだ。
投資者がアクティブ運用の投信を通して、どんな社会をつくっていくかの方向を意思表示することになる。
意思表示を実行に移してくれるのが、アクティブ運用のアナリストやファンドマネジャーなのだ。
彼らには、しっかりとした将来像と最大限の倫理観そして誇りをもって仕事してもらいたい。 まさに、長期投資の世界である。