1970年代の半ばごろ、年金という制度も運用も将来への夢にあふれていた。
国民年金や企業年金の制度が整備されるにつれて、老後設計への安心感が国民の間で広がっていった。
毎月の積立てによる年金資産の急激な増加は、世界の運用会社に桃源郷のようなビジネス機会をもたらした。
80年代90年代と、年金資産は膨れ上がる一途となり、年金がらみのビジネスが大きく花開いた。
運用資産獲得のマーケティング競争は、コンサルタント会社を雨後の竹の子のように次々と生み出した。
マーケティングの武器として、運用理論や手法の高度化は眼を見張るようなスピードで進展していった。
ところが、2000年代に入るや、ITバブルの崩壊そしてサブプライム問題・リーマンショックなどで、年金資産の毀損が運用現場でささやかれだした。
同時に、人口の高齢化によって、毎年の年金積立額よりも給付額の方が上回る、年金資産の純減が懸念されるようになった。
その懸念は、ここ7年~8年で、先進国どこでも現実の問題となってきている。 日本は2009年からだ。
人口構成の高齢化による年金資産の流出は、年金給付額を約束する確定給付型の年金制度が抱える構造的な問題である。
この問題は、自分の年金は自分で積立て運用する確定拠出型でない限り、どんどん深刻化する一途となる。
つまり、現行の国民年金や古い企業の年金にとっては、先行きがより厳しくなる時限爆弾のようなものである。
一方、年金運用もバラ色の時代はとうの昔に終わっている。 いまや、低金利運用の自縄自縛状態に陥っている。
自縄自縛? そう、積み上がる一途の年金資金で債券などを買い上げて、世界の金利を低下させてきた。
その結果、年金運用で求められる利回りを確保できなくなっている。 否応なしにジャンク債など質の悪い投資に走らざるを得ない、そういった悪循環に陥っている。
先進国中心に資金を大量に供給し金利を低下させてきたが、金融や金利の正常化は年金運用にとって、やはり時限爆弾のようなものである。
金利が上がれば、保有債券の価格は下がり評価損が拡大する。 ジャンク債は暴落する。 年金運用の現場は大混乱に陥る。
このように、年金の制度も運用も構造的な問題に直面していて、事態は深刻化の度合いを深めている。
もはや年金は頼りにせず、自己防衛で財産づくりするしかない。 それには本格的な長期投資を進めることだ。
起こりうる年金問題をあらゆる角度から読み込んで運用している、さわかみファンドをどんどん買っておくのが一番だろう。