昔から言われているように、投機は機に投ずること。 ここというタイミングを狙い澄まして資金を投入し、大なれ小なりの利を得ようとする。 対象は何でも構わない、とにかく利を抜けるかどうかの判断だけ。
株式投機であれば、相場のあやを取りに行くわけだ。 相場に動きが感じられ、利ザヤを稼げそうなものであれば、どんな株でも投機の対象となる。 大事なのは、相場が大きく動く瞬間を外さないこと。
そこで今日のポイントだが、世の投資家は多くが株式投機に近いことを繰り返している。 あえて株式投機に近いといったのは、多くの投資家が相場を追いかけては相場に乗ろうとするが、それは相場に動きが出てきて方向がはっきりしてからのこと。 とてもではないが、相場に動きが出る瞬間を狙うカミソリのような投機の切れ味と、首尾よく瞬間をとらえた旨みは期待できない。
もっとも、日本の投資家のほとんどがそれを株式投資と信じて疑わない ”順張り投資” の感覚からは、相場の動きを確認してから早めに乗って何が問題なのかと文句を言われそう。 彼らからすれば、相場は多くの投資家が後から後から参加してくることで大きく育っていく。 その流れを先取りするのが株式投資の王道だろうとなる。
あの有名な経済学者ケインズの美人投票理論が、まさにそれだ。 ケインズ先生いわく、本当に美人かどうかはどうでもよく、より多くの投資家が美人として投票するであろう株式を選ぶのが投資で成功する秘訣ということになる。
その通りなんだろうが、それは先ず相場があってのこと。 多くの投資家が美人投票しようという気にならない相場低迷時や相場の方向が定まらない時は、まったくの開店休業となる。
そういった時にさっさと行動するのが、本当の投資家である。 相場に真っ正面から勝負を挑む投機でもない、相場に動きを確認してから飛び乗る順張り投資でもない。 その時々のマネー環境や人々の心理次第の相場など無視して、ひたすら将来価値を買おうとするのが投資というものである。
いつも書いているように、企業は一日として休むことなくビジネス活動を続けている。 その狙いは、人々の生活に資すること、そしてその報酬として利益をいただくことだ。 その企業が世の中のお役に立って、なくてはならないと思われるほど、その企業の業績は伸びていく。 つまり投資価値は高まっていくわけだ。
そこのところだけを考えて株式投資しようとすれば、相場動向などどうでもいい。 株価が売られ気味だったら、どんどん買い増ししていけばよいだけのこと。
いっておくが、そういったわれわれ長期投資家の買いこそが新しい相場のベースを築いていっているのだ。 そう、投機家が狙うよりもずっと早い段階で、どんどん買い仕込みを進めていることになる。 投機家よりも順張り投資家よりも、はるかに骨っぽいと思わないか?