モノづくり日本の将来

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 よく、製造業の空洞化がいわれる。 といっても、言っているのはマスコミや学者先生がほとんど。 企業を経営する立場からは、空洞化とかを他人事のようにいっている暇はない。 経営者としてみれば、おいそれと会社を潰すわけにはいかないし、従業員やその家族の生活を守らなければならない。

 世界的にも高い人件費、硬直的でがんじがらめの雇用慣習、週休2日が定着してなお世界で一番祝祭日が多いのに、まだ国民に働くな働くなと指導する労働行政、先進国で最も高い法人税率と、企業経営には高コスト構造が強いられている。 その一方で、経済の成熟化で国内需要は伸び悩みとなっている。 どうしても輸出を強化して食っていきたいところだが、ドルやユーロが売られての超円高と来た。

 それでも生き残っていかなければならない。 出てくる結論は、需要が爆発的に伸びており将来さらに加速しようとしている世界に打って出ようということになる。 それを見て、製造業の空洞化というのだろうが、そんな単純なものではない。

 家電や自動車など耐久消費財の生産体系を、これまでの ”なんとか国内主体で” から、グローバルベースに切り替えていく。 それでもって低価格化を図り、爆発する世界需要に応えていこうとしているのだ。 伸びゆく現地需要を最大限に取り込んでいくには、耐久消費財のデザインも組み立て加工も消費地でやったほうが有利である。

 一方、国内に残された生産体系は、いまさら家電などの製造ではない。 日本企業のみならず世界の企業のグローバル生産に必要不可欠な基幹部品や新素材を供給する基地となっていく。 さらには、代替エネルギーや代替工業原材料といったインフラ産業で世界をリードするようになる。

 これらは、どれも高度な技術開発力と、それを安く大量に生産する工業生産力、それらを支える下請けさんや孫受けさんそして部品屋さんといった工業インフラの3点セットがキーワードとなる。 まさに、日本の製造業のお家芸である。

 グローバル生産化か、国内でのインフラ産業化か、どちらを選択するかは企業それぞれの判断による。 ただ、それぞれの新しい生き様へ向かって企業が動きを加速させているのは、はっきり見てとれる。 2年から3年もしないうちに、その成果が表面化してこよう。

 そういった必死に頑張っている企業を熱く応援していくのが、われわれ長期投資家の役割である。 空洞化論議や円高で、株価はやたら売られている。 ここは、しっかり買っておこうぜ。

 

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