日本企業のグローバル化が進んでいる。 経済の成塾化と少子高齢化の進展で、国内需要はもうそう伸びない。 一方、世界の需要はこれから先どれだけ伸びるのか予想もつかない。
なにしろ、地球上の人口は1日あたり18万5000人ずつ増え続けていくのだから。 一番確かな将来予測といわれる国連の人口推計によると、現在71億人ちょっとが2050年には96億人になるという。 (中位値推計で)
毎日18万5000人ずつ人口が増えていくとなると、それだけの伸びで食料や衣料はじめあらゆる生活物資が供給され続けなければならない。 つまり、世界経済の規模は拡大し続けることになる。
よくエコノミストや評論家が世界経済の成長率鈍化とかデフレ現象をいうが、そんなもの一時的なものにすぎない。 長いトレンドでみれば、地球上の需要増加に見合うだけの供給力は増強され続けなければならないのだ。
それどころか、人は誰でもより豊かな生活を憧れてやまない。 地球上人口の伸びがどこで止まるかは知らないが、ほとんどの人々が相当に豊かな生活水準を実現するまでは、世界経済の拡大し続けることになる。
それを支えるのが、企業の生産供給活動である。 日本企業もいよいよ本格的に世界の需要を取り込むべく、真の意味でのグローバル化へ経営の軸を移し始めた。
もっとも、一部の企業はもう既に相当なグローバル化を果たしている。 売り上げのほとんどが世界市場でといった日本企業の数は、これからどんどん増えていくことになろう。
とはいえ、グローバル化といっても単純ではない。 世界中でいつ何が起こるか知れたものではない。 たとえば、ここへ来てタイはクーデタで軍事政権となった。 今後、どのような政策を打ち出してくるのか不明である。
その前から、タクシン派と反タクシン派との間で大規模デモの応酬があったりで、民主主義国でありながらも政治闘争に翻弄され続けてきた。 その都度、商店街は店を開けたりを余儀なくされている。
それでも、タイには6800万人の人々が住み、経済も中進国水準になってきている。 政治的にデモやクーデタなどで大揺れしたところで、ある程度の豊かさを知ってしまったタイの人々の生活は、もう消えてなくなりっこない。
どんなことがあっても、人々の生活は続くし、それを支える企業活動も一時として止ることはない。 そこをしっかり押さえた上で、政情不安など社会変動を乗り切っていく経営のしたたかさが、グローバル企業には求められる。
長期投資家も世界中で繰り広げられる社会変動や政情不安などに振り回されることなく、どっしりとグローバル経営を応援していきたいものだ。