地方経済活性化と長期投資

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 先週の土曜日は徳島で、どうすれば地域経済が元気になるかの熱いセミナーが繰り広げられた。 もともとが地元の若い経営者が中心になって、いろいろ模索したり試してみたりをしていた。

 そんな彼らが外部の講師として是非という。 じゃあ行くよ好きなことを言うよで、やたら熱いセミナーと相成った。 最初は40分ほど、成熟経済における個々人の生き方、企業経営のありかた、そして国の経済政策のありようといったものを整理して説明した。

 とりわけ重要となってくるのが、間接金融主体の経済運営から直接金融の流れを自分たちでつくっていくというところ。 国の金融政策や制度に縛られがちの間接金融は、お金の流れがどうしても書類ベースのリスク回避型となる。 その典型が金融機関で、お金を窓口で吸い上げては企業融資にまわす役割を果たすが、どうしても安全第一で大企業中心となってしまう。

 一方、直接金融は個人などお金の出し手と、企業や事業者などお金の取り手とが、よし分かったやりましょうで握手をすればいいだけのこと。 自分の判断と相手の熱意や本気度次第だから、決断は早いし場合によってはリスクも積極的に取ろうということになる。

 地方経済活性化や地域経済を元気にしていこうというなら、直接金融的なお金の流れをつくっていくのが一番。 なにしろ、徳島県だけでも5兆円を大きく上回る預貯金残高がある。

 5兆円を超す資金を預けているのは地元の人たちだが、預かった資金のほとんどが東京へ行ってしまう。 預金は大企業への融資や国債購入が中心だし、郵便貯金は国の関連事業融資や国債購入に向かう。 これが間接金融の世界というものだが、それでは地元の経済になかなかお金がまわらない。

 だったら、徳島県民が5兆円の一部でも、たとえば1兆円を地元にまわしたらどうなるか。 1兆円もの資金が消費や投資を通して地元経済に流れ込んでいったら、もう放っておいても地元経済はガンガンに活性化する。

 自分のお金だ、自分の好きにできる。 幸か不幸か預貯金にしていても、年0.02%にしかならない。 どうせ殖えはしないのだから、預貯金の一部を消費や投資にまわしてやって、地元経済を潤す方がよほど賢い。

 そこらあたりが腑に落ちたなら、さっさと行動しようぜ。 経済なんてものはお金がぐるぐるまわれば、みんなが潤うのだから。 まわしたお金は消えてなくならず、まわり回って自分に戻ってくる。

 ひとつだけ大事なことがある。 地元でお金がぐるぐる回るだけでは、経済の拡大再生産にはつながらず、一人ひとりの富は増えない。 特産品を県外で販売したり、観光客を誘致したりで現金収入を増やす必要がある。 外部からの現金収入が入ってくると、その分だけ地元の人たちへの分配も多くなる。 つまり、富の増殖となる。

 多くの地方経済活性化プランは、外からの収入増加ばかりに力を入れるが、なかなかうまくいかず苦労しているのが現状である。 その横で、もっと大事な地域内でお金をぐるぐる回すということが、スポーンと抜け落ちている。 先ずは、地元でお金をまわすことだ。

 ここへ長期投資を放り込んだら、どうなるだろう? たとえば、徳島の人々が1兆円を地元での消費や投資にまわし、もう1兆円を長期投資で世界の成長を取り込むのだ。

 すこし時間がかかるが、世界を舞台に頑張る企業を応援する長期投資のリターンは、まぎれもなく外からの現金収入となる。 これでもって、徳島の活性化とより豊かな将来を築いていけるわけだ。

 若い経営者たちはかなり具体的なイメージが出てきたようで、セミナーが終わった後の懇親会はやたら盛り上がった。